2000 Fiscal Year Annual Research Report
スギおよびヒノキの針葉に蓄積するロドキサンチンの光防御機能の解明に関する研究
Project/Area Number |
12460067
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
向井 譲 静岡大学, 農学部, 助教授 (80283349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 健司 森林総合研究所, 生物機能開発部, 研究職
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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Keywords | 光阻害 / ロドキサンチン / クロロフィル蛍光分析 / キサントフィルサイクル / 過剰光エネルギー / スギ / 低温 / 強光ストレス |
Research Abstract |
ロドキサンチンの光防御機能を解明することを目的として生理学的解析をおこない、以下の結果を得た。 (1)冬期にロドキサンチンを蓄積する野生型のスギとロドキサンチンを蓄積できない突然変異体ミドリスギを用いて、光合成速度、光飽和光合成速度、電子伝達効率(Fv/Fm)、光合成関連タンパク質、色素組成の季節変化を調べ、ロドキサンチンを蓄積できないミドリスギが野生型のスギ以上に光阻害を受けていることを明らかにした。(2)ロドキサンチンを蓄積した野生型のスギ苗木を室内に移すと短期間でロドキサンチンが消失することを利用して、ロドキサンチンの蓄積した野生型のスギと消失させた野生型のスギを同時に直射日光にあてた。ロドキサンチンを消失したスギは、消失過程で光飽和光合成速度と電子伝達効率の増加が見られたが、再度直射日光にさらされるとロドキサンチンを蓄積したスギよりも強い光阻害を受けた。この結果から、蓄積したロドキサンチンは光合成アンテナに到達する光を減衰させること、冬期に直射日光下で深刻な光阻害を受けるのはミドリスギだけでなく、ロドキサンチンの蓄積の有無により野生型のスギでも観察できる普遍的な現象であることが解明された。(3)被陰処理により光量子量を調節して生育させたスギ苗木を用いて、ロドキサンチンの蓄積過程における電子伝達効率、色素組成を調べ、過剰な光エネルギーが発生する低温・強光条件でのみロドキサンチンが蓄積すること、ロドキサンチンの蓄積量は過剰な光エネルギーの量と高い相関があることを明らかにした。
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