2001 Fiscal Year Annual Research Report
スギおよびヒノキの針葉に蓄積するロドキサンチンの光防御機能の解明に関する研究
Project/Area Number |
12460067
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
向井 讓 静岡大学, 農学部, 助教授 (80283349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 健司 独立行政法人森林総合研究所, 樹木分子生物学研究室, 研究職・生物工学研究領域樹木分子生物研究室長
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
|
Keywords | スギ / ロドキサンチン / 光阻害 / クロロフィル蛍光反応 / 立地環境 / 精英樹クローン |
Research Abstract |
スギ及びヒノキの針葉に蓄積するロドキサンチンの光防御機能を解明することを目的として、ロドキサンチンの蓄積に及ぼす立地環境の影響およびロドキサンチンの蓄積におけるスギ品種間の差異について検討した。 ロドキサンチンの蓄積および光阻害の発生過程に対する標高の影響を調べるため、静岡県中部の地蔵峠に至る林道に沿って、南西向き斜面の標高1130m,900m,630m,150mの4カ所に試験地を設定し、試験地に生育するスギ成木(各3本)のクロロフィル蛍光収率(Fv/Fm)、色素組成の変化を7月から毎月1回測定した。7月から10月までは、クロロフィル蛍光収率、クロロフィル組成、カロチノイド組成ともに標高による違いは少なかった。気温が低下した11月以降、標高の高い試験地から順にクロロフィル蛍光収率が低下した。また、ロドキサンチンの蓄積量や蓄積開始時期には標高による違いがみられ、標高の高い試験地では低い試験地よりも早い時期から蓄積が始まり、蓄積量も多くなった。さらに、各試験地から枝を採取し、低照度下で光阻害からの回復過程を調べた結果、標高の高い試験地ほど光阻害の程度が大きく回復に長時間を要することが明らかになった。したがって、標高と光阻害の程度やロドキサンチンの蓄積の間には高い相関があり、標高に伴う気温の変化はロドキサンチンの蓄積や光阻害の程度に反映されることが明らかになった。 次に、ロドキサンチンの蓄積に対する遺伝的変異の影響を明らかにするため、スギ精英樹クローン7品種の挿し木苗を用いて、クロロフィル蛍光収率と色素組成の季節変動を調べた。12月まではクロロフィル蛍光収率やロドキサンチンの蓄積量にクローン間の違いがみられなかったが、1月になるとクローン間に差異が見られた。 以上の結果から、ロドキサンチンの蓄積は立地環境が遺伝的変異よりも大きく影響していることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Y Mukai, Q Han, S Muramatsu, M Katoh, Y Kakubari, K Shinohara: "Photoprotective functions of the rhodoxanthin accumulated in sun-exposed needles of Cryptomeria japonica in the winter"Proceedings of 12^<th> International Congress on Photosynthesis. S-56. 1-4 (2001)