2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460069
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
二井 一禎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50165445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 盛也 京都大学, 農学研究科, 教授 (10026578)
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Keywords | マツ枯れ / 酸性雨 / 菌根共生 / 萎凋病 / 実生菌 / 水分ストレス |
Research Abstract |
マツ枯れ被害の沈静化が困難な理由の一つに、この疾病が多くの生物要素の相互関係から成立する複雑な系であることがあげられる。本研究では、この複雑な系に影響する環境要因のなかから、酸性雨と菌根共生をとりあげ、これらが本病の流行の動向をどのように支配するのかを研究した。酸性雨は本病の誘因として働き、本病の進展を促進すると想定して仕事をはじめたが、その作用は複雑で、その酸性度により、本病を促進する場合もあれば、むしろ抑制的に働くことがあることを明らかにした。その作用点を明らかにすべく、発芽数ヶ月という小さな実生マツ苗を用いて、何段階かの密度に調整した病原線虫を接種し、その後の病徴の進展を評価するという手法で、病徴進展度を初期線虫密度と接種後の経過時間からもとめた負荷の関数として解析することができた。この解析法により、これまで雑然と見えた結果は、マツ樹側の耐性限界と病原体側の病原力という二つのパラメーターで整理することができるようになり、それぞれ侵入抵抗や増殖力といった現象と関連づけて評価することができた。また、本病が萎凋病の一種である点から、発病・枯死過程を研究しているが、そのメカニズムの一つとして、木部柔細胞からの物質の漏出→ ピットメンブレンへの物質の沈着→キャビテーションの発生→水分通導不全 という仮説を補強する組織化学的知見を得ることに成功した。さらに、水分ストレスが発病・枯死に深く関わることから、菌根共生を水分ストレスとの関係で研究し、菌根相が水分条件に応じて動的に変化し、マツ樹への養水分補給機能をまかなっていることが示唆される結果を得た。これらの結果をとりまとめ、すでに4つの報文として公表しているほか、現在投稿中の成果もある。
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[Publications] Asai, E., Futai, K.: "The effects of long-term exposure to simulated acid rain on the development of pine wilt disease caused by Bursaphelenchus xylophilus"Forest pathology. 31. 241-253 (2001)
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[Publications] Asai, E., Futai, K.: "Retardation of pine wilt disease symptom development in Japanese black pine seedlings exposed to simulated acid rain and inoculated with Bursaphelenchus xylophilus"Journal of Forest Research. 6. 297-302 (2001)
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[Publications] Asai, E., Futai, K.: "Promotion of the population growth of pinewood nematode in 4-month old Japanese black pine seedlings by the pretreatment with simulated acid rain"Journal of Forest Research. (印刷中).
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[Publications] 原 直樹, 二井一禎: "マツノザイセンチュウ感染によるクロマツ木部放射柔細胞の変化と周辺仮道管への影響"日本林学会誌. 83. 285-289 (2001)