2000 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の重力刺激対応とあて材形成機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12460070
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 環 鳥取大学, 農学部, 助手 (90294347)
船田 良 北海道大学, 農学部, 助教授 (20192734)
中村 輝子 日本女子大学, 理学部, 教授 (30060651)
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Keywords | 圧縮あて材 / 引張あて材 / カルシウム / オーキシン / ジベレリン / NPA / ラファヌサニン / MBOA |
Research Abstract |
あて材形成における植物ホルモンおよびCaの役割を調べた。この実験では、針葉樹はヌマスギ実生苗木を、広葉樹は散孔材樹種であるトチノキ実生苗木を用いた。 (A)(1)圧縮あて材形成の人為調節:(1)ヌマスギ2年生苗木の幹を切断し、植物ホルモンを含む組織培養用培地を与えることによって形成層活動を調節し(in vivo培養)、あて材形成と植物ホルモンとの関係を調べた。(2)これらの苗木に45゜の傾斜を与え、あて材形成における植物ホルモンの作用性を調べた。以上の結果、合成培地の供給によって形成層活動がほぼ自由に調節できることを明らかにした。さらに、傾斜は、人為的なin vivo培養下にあっても圧縮あて剤を形成させることがわかった。 (2)引張あて材形成の人為調節:トチノキ苗木を用いて引張あて材形成における、オーキシンとジベレリンの役割を調査するため、オーキシン転流阻害剤であるNPA(N-1-Naphthylphthalamic Acid)とオーキシン生理活性阻害剤であるRaphanusaninとMBOAのラノリンペーストを樹皮に直接塗布する方法と、ジベレリンとジベレリン生成阻害剤であるウニコナゾール-Pを側芽へ処理する方法で実験を行った。その結果、NPA処理部は過剰肥大を引き起こすとともに、引張あて材形成を抑制した。これはオーキシンの集積によるものと予想された。またRaphanusaninとMBOAを傾斜樹幹の上側に処理することで成長を抑制することなく、引張あて材形成を抑制した。これらの結果、引張あて材形成はオーキシンが高濃度でも低濃度でも抑制されることが予想された。 (B)圧縮あて材形成における重力センリーとしてのCaの作用性解析:上記Λ(a)の条件下で、Caイオン濃度を変えた培地を与える。さらにCaのキレート剤、および生理作用阻害剤を用いて樹体内のカルシウム濃度を制御し、あて材形成に対する影響を調べた。この結果、組織内におけるCaの濃度低下、あるいは生理作用阻害は、細胞壁の構築を強く抑制し、圧縮あて材の形成を阻害することがわかった。
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