2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460072
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野上 寛五郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (10038242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 助手 (70315357)
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00231150)
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Keywords | 保全生態学 / ヤクシマサルスベリ / 絶滅危惧種 |
Research Abstract |
屋久島低地照葉樹林の渓流域に分布するヤクシマサルスベリは,屋久島および種子島の固有種とされている。人為活動の活発な低地に分布することから,近年土地開発によって個体数が減少し,準絶滅危惧種に指定されている。また,渓流域という河川の影響を強く受ける複雑な立地に分布することから,その生育環境はほどんど明らかにされていない。本年度は,ヤクシマサルスベリの現在の生存状況を把握する事を目的として現地調査を行った。 屋久島南西部の一流域(62ha)を対象に,ヤクシマサルスベリの生育状況を春・夏・秋の3回にわたり調査を行い,生存個体分布図を作成した。また対象流域の全個体のサイズ,生育微地形および光環境を調査した。その結果,全部で418個体を確認できた。小さい(若い)個体ほど数が多かったため,少なくとも調査した流域では上手く世代交代が進んでいくと考えられた。また,やはり川沿いの土石流がたまっているところや地山が崩れてたまったところに多く,斜面の上の方には少ないことが明らかになった。すなわち,ヤクシマサルスベリが好む立地条件は,たとえ土砂で押し流されやすくても水条件が良いところであると考えられる。
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