2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学改質リグニンによる植物のアルミニウム生育阻害抑制機構
Project/Area Number |
12460074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 尭介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝亦 京子 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 助手 (70313319)
新谷 博幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282693)
松本 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183619)
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Keywords | リグニン / 土壌改良剤 / アルミニウムイオン / 森林 / 酸性土壌 / アルカリ性酸素酸化 / 錯体形成 / 根 |
Research Abstract |
世界の酸性土壌地域は、農業利用可能陸地面積の42%にも達しているとされている。そして、これらの地域は熱帯地域における過度の森林伐採の結果、益々増大する傾向にすらある。これらの地域における植物の生育阻害の要因には様々なものがあると考えられるが、土壌中のアルミニウムの過剰によるものが最も多く、かつ深刻であるといえる。 健全な土壌においては表土中に存在する腐植物質が土壌水中のアルミニウムイオン濃度を適性に維持する機能を有していると考えられている。腐植物質が親水性基に富む高分子物質であり・植物細胞壁構成成分に由来すると考えられることから、本研究ではパルプ製造排液から分離した工業リグニンの化学的変換によって腐植物質と同等の機能を有する土壌改良剤を開発することを目的としている。 初年度の検討によって、化学改質リグニンがアルミニウムイオンとの間で錯体を形成すること、およびこれによってアルミニウムイオンの植物に対する生育阻害が著しく抑制されることが明らかとなった。今年度は、このような化学改質リグニンの機能の解明には、錯体形成に関与する化学構造の詳細な検討が不可欠であるるとの認識から、主として伝導度および電位差による同時滴定によって、各種酸性基の分別定量を試みた。その結果、酸性基はその酸性度によって強酸性基、および3種の弱酸性基に分類できることが明らかとなった。強酸性基はアルカリ性酸素によるリグニンの化学改質において得られる高分子には存在しないが、極く低分子量の画分には明らかに存在することが確認された。その他の弱酸性基の性状としては、芳香族カルボン酸類に代表されると考えられる弱酸性基I,その他の芳香核の開裂に基因すると考えらる弱酸性基II,フェノール性水酸基を中心とした弱酸性基IIIが認められた。化学改質処理の条件とこれらの酸性基量、およびアルミニウム毒性抑制機能の関係から、弱酸性基IIが最も重要であることが明らかとなった。
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[Publications] K.Katsumata, M.Maruyama, G.Meshitsuka: "Reduction of aluminium toxicity to radish by alkaline oxygen treated kraft lignin"Journal of Wood Science. 47・2. 129-134 (2001)
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[Publications] K.Katsumata, H.Shintani, G.Meshitsuka: "Mechanism of detoxification of aluminum ions by kraft lignin treated with alkaline oxygen"Journal of Wood Science. (in printing).