2001 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースの由来による分子特性の相違の解明及びその特性に合った利用法の開発
Project/Area Number |
12460076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 孝芳 京都大学, 農学研究科, 教授 (70026144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 大輔 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293908)
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Keywords | セルロース / バクテリアセルロース / ツニシン / 液晶 / 粘度 / 分子特性 / レオロジー特性 |
Research Abstract |
循環型工業社会の構築・維持のための工業源材料として、自然の循環系に組み込まれているバイオマスの一つであるセルロースを高度に利用することが期待されている。このためには、セルロースの分子特性の解明が不可欠である。地球上でセルロースは主に植物界、モネラ界(酢酸菌)、動物界(ホヤ類)で生産されている。これら由来の異なるセルロースを比較対照しながら、セルロースの分子特性と物性の関連、分子特性と溶液及び固体における秩序性並びに溶解性の関連及びセルロースの新しい利用法について研究した。 セルロース試料として、針葉樹溶解パルプ(DP)、バクテリアセルロース(BC)、綿リンター(CC)及びマボヤ由来のセルロース(ツニシン、TC)を用いた。8%LiCl/DMAc溶媒系へ植物由来のセルロースであるDP、CCは溶解し、無色透明の等方性溶液となる。BCは濃度の低い領域では等方性溶液になるが、6wt%程度より高濃度では非等方性溶液(液晶)となり複屈折を示す。TCはこの溶媒には全く溶解しないが、8%LiCl/DMI系には溶解し、無色透明の等方性溶液となることが判明した。このようにセルロースの由来によって、この溶媒への溶解性は大きく異なること.が明らかにされた。 光散乱測定から求めた重量平均分子量はDP, CC, BC及びTCそれぞれ98.2x10^4, 170x10^4, 192x10^4及び413x10^4であった。零せん断粘度は低濃度領域ではいずれの系でも濃度の1乗に比例する。一方、高濃度領域では、DP及びCC系では濃度の4乗に、BC系では濃度の3乗に、またTC系では8乗に比例して増加する。この粘度の濃度依存性の違いは、セルロース分子の分子特性の違いの反映でもある。DP及びCC分子は溶液中で比較的柔らかい屈曲性高分子として、BC分子はどちらかと言えば剛直な棒状分子として挙動していることになる。TC系の8乗については、現時点で天然及び合成高分子いずれの系でも見出されていない。以上の結果は、これら同じセルロースといわれる物質でも、その由来によって分子間相互作用の機序に違いがあること、延いては分子特性に何らかの違いがあることを意味する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] D.Tatsumi, T.Matsumoto: "Effect of fiber concentration and axial ratio on the rheological properties of cellulose fiber suspensions"J. Soc. Rheol. Japan. 30・1. 27-32 (2002)
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[Publications] B.Chen, D.Tatsumi, T.Matsumoto: "Floc structure and flow properties of pulp fiber suspensions"J. Soc. Rheolo., Japan. 30・1. 19-25 (2002)
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[Publications] T.Matsumoto, D.Tatsumi, N.Tamai: "Solution properties of celluloses from different biological origins in LiCl・DMAc"Cellulose. (印刷中).
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[Publications] 松本孝芳: "セルロース研究の新展開に向けて"繊維学会誌. 57・5. 147-149 (2001)
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[Publications] 松本孝芳: "由来の異なるセルロースの分子特性"化学と生物. 40・1. 66-68 (2002)