2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460082
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 和也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40282082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 旭 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30002091)
吾妻 行雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50292256)
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Keywords | マコンブ / ミツイシコンブ / 光合成速度 / 栄養塩要求 / 生長と成熟 / 形態形成 / 植物プランクトン / 珪藻 |
Research Abstract |
北海道南茅部産マコンブと同浦河産ミツイシコンブを宮城県松島湾で養殖し、両種の生長と成熟、形態、光合成、栄養塩吸収の特徴を比較した。両種とも生長は冬季にもっとも速く、以後低下、末枯れは冬季から始まり、以後上昇する同様な変化を示した。これらに対して子嚢斑の形成は、マコンブでは葉状部先端で2月から始まり3月にピークに達したが、ミツイシコンブでは3月に先端部から始まり、4月からは生長点である茎葉移行部となり、6月にピークに達した。両種の形態は、葉幅と中帯幅がマコンブで広く、ミツイシコンブで狭い原産地と同様な特徴を示した。しかし、葉の厚さは、茎葉移行部では両種とも生長初期から夏季の脱落に至るまで増加したが、他の部位ではマコンブでまったく増加しなかったのに対し、ミツイシコンブでは茎葉移行部と同様に増加した。葉状部における炭素と窒素の含有量は、葉の厚さの変化と対応して生長初期から脱落に至るまでともに茎葉移行部でもっとも多かったが、ミツイシコンブでは部位による差がマコンブより小さかった。光合成速度と栄養塩吸収速度の季節変化から、葉状部で生産された炭素および吸収された窒素は茎葉移行部へ転流、蓄積されるが、ミツイシコンブの場合、転流される量がマコンブよりも低く、葉状部に一様に蓄積すると考えられる。以上のように、マコンブとミツイシコンブは形態、成熟過程、ならびに資源の生産、蓄積の様式が異なっているので、昨年度報告したマコンブ、ホソメコンブ、リシリコンブ3種の類縁関係と較べて遠い関係にあると考えられる。 養殖コンブと栄養塩の競争関係にあると考えられる植物プランクトンは、珪藻が優占し、春季の栄養塩濃度の上昇が大増殖をもたらすが、松島湾では春季大増殖はあまり認められず、栄養塩濃度が上昇する秋季においても増殖は認められないことが分かった。底泥中には常に多量の休眠期細胞が存在し、水柱中の個体群を維持していると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 中林信康, 谷口和也: "男鹿半島沿岸におけるスギモク群落の生活史と生産力"日本水産学会誌. 68・5. 659-665 (2002)
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[Publications] Y.Agatsuma, K.Narita, N.Nakabayashi, K.Taniguchi: "Annual life cycle and productivity of the brown alga Sargassum yezoense off the coast of Oshika Peninsula, Japan"SUISANZOSHOKU. 50・1. 25-30 (2002)
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[Publications] A.Kawashima, Y.Agatsuma, K.Taniguchi: "Dietary evaluation of stipe of wakame, Undaria pinnatifida for the growth of the ezo abalone, Haliotis discus hannai"SUISANZOSHOKU. 50・1. 97-102 (2002)
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[Publications] Y.Sato, Y.Agatsuma, N.Nakabayashi, K.Taniguchi: "Marine algae off the coast of Iwadate in northwestern Honshu, Japan"Biosphere Conservation. 4・2. 51-58 (2002)
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[Publications] Y.Agatsuma, Y.Yamada, K.Taniguchi: "Dietary evaluation of stipe of the brown alga Undaria pinnatifida on growth and gonadal enhancement of the sea urchin Strongylocentrotus nudus"Fisheries Science. 68・6. 1274-1281 (2002)
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[Publications] 谷口和也(共著): "水産業における水圏環境保全と修復機能"恒星社厚生閣. 131 (2002)
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[Publications] 谷口和也(共著): "地球環境ハンドブック(第2版)"朝倉書店. 1129 (2002)