2001 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の性分化におけるアポトーシス(自殺細胞死)の役割
Project/Area Number |
12460085
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 崇 東京水産大学, 水産学部, 助手 (40313390)
吉崎 悟朗 東京水産大学, 水産学部, 助手 (70281003)
山下 倫明 水産庁中央水産研究所, 加工技術研究室, 室長併任助教授
|
Keywords | 性分化 / アポトーシス / 性特異的マーカー / 生殖細胞特異的マーカー / 魚類 / ステロイドホルモン / ペヘレイ / ニジマス |
Research Abstract |
本研究では,水温,塩分など異なる環境下で飼育した仔稚魚の生殖腺におけるアポトーシスの誘導に関わる分子を解析し,アポトーシスの性分化への影響を解明する。 本年度では、まず、ペヘレイの性分化期における生殖細胞消失と精巣・卵巣の分化の関係を明らかにするために、全雌(17℃)、全雄(29℃)および雄雌の混在を誘発する水温(24℃)下で飼育した仔稚魚を組織標本として、正常と異常(濃縮やエオジン好性の核を示すもの)生殖細胞の数の経時的変化を調べた。その結果、雌(17℃および24℃)の場合は異常を示す細胞がほとんど性分化の後にしか出現しないものに対して、雄(24℃と29℃)では性分化の前から多数の異常細胞が確認できた。また、17℃および24℃で性分化した後29℃に移した個体で同解析を行ったところ、水温を移動して1週間後から生殖細胞の異常が認められた。一方、その過程においてステロイドホルモン生産機構はどのように関わっているかを検討するために、エストロゲンの合成や作用に重要な役割を果たすと考えられているアロマターゼ遺伝子とエストロゲンレセプター(ER)α・βの遺伝子構造解析および、性分化時における各遺伝子の発現を調べた。半定量的RT-PCRの結果から、アロマターゼ遺伝子に関しては、全雌群の17℃区では形態的性分化に先立ち、成長とともに発現が高まる傾向が見られた。また、全雄群の29℃区では低い発現レベルで推移した。しかし、雌雄混在区の24℃区では、17℃区のように高い発現量を示すものと、29℃区のように低い発現量を示すものが混在するように見受けられた。また、ERαおよびβ遺伝子の発現量は成長とともに上昇したが、水温区間で顕著な差は見られなかった。 さらに、生殖細胞を簡便に判別するために生殖細胞で特異的に発現しているvasa遺伝子の転写制御領域にオワンクラゲ由来のGFP遺伝子を接続したコンストラクトを導入した遺伝子導入ニジマスを作成した。この遺伝子導入ニジマスでは、予想通りGFP遺伝子が生殖細胞系列特異的に発現し、生きた個体内で生きた生殖細胞を可視化することに成功した。また、上記のvasa遺伝子をヨーロッパヘダイからも単離することに成功した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ito, L.S. et al.: "Dynamics of heat-induced germ cell loss in pejerrey, Odontesthes bonariensis"Proceedings of the International Commemorative Symposium of the 70^<th> Anniversary of the Japanese Society of Fisheries Science, Yokohama, Japan. (In press). (2002)
-
[Publications] Takeuchi, Y. et al.: "Production of germ-line chimeras in rainbow trout by blastomere transplantation"Molecular Reproduction and Development. 59. 380-389 (2001)
-
[Publications] Yoshizaki, G. et al.: "Visualization of primordial germ cells in transgenic rainbow trout carrying green fluorescent protein gene driven by vasa promoter"Proceedings of the International Commemorative Symposium of the 70^<th> Anniversary of the Japanese Society of Fisheries Science, Yokohama, Japan. (In press). (2002)
-
[Publications] Miranda, L.A. et al.: "Immunocytochemical identification of GtH1 and GtH2 cells during the temperature-sensitive period for sex determination in pejerrey, Odontesthes bonariensis"General and Comparative Endocrinology. (In press). (2001)
-
[Publications] Cardinali M. et al.: "Perspective in comparative endocrinology : unity and diversity (Ed. by Goos H.J.Th, Rastogi, R.K., Vaudry H., and Pierantoni R.)"Cloning, characterization and expression of vasa-like gene in the gilthead sea bream. 197-203 (2001)
-
[Publications] Takeuchi, Y. et al.: "Aquatic Genomics(Springer)"Visualization and isolation of live primordial germ cells aimed at cell-mediated gene transfer in rainbow trout (In press). (2002)