2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 昌弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70134517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満谷 淳 福山大学, 工学部・海洋生物工学科, 助教授 (80309632)
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Keywords | アオコ / 溶藻細菌 / 溶藻・殺藻物質 / 藍藻 / 富栄養化 / Microcystis / Anabaena / Oscillatoria |
Research Abstract |
夏場湖沼において発生するアオコは景観的にも環境衛生的にも大きく問題となっている。より環境に負荷の少ないアオコの防除法を確立するために淡水産藍藻を殺滅する細菌を単離し、その産生する殺藻物質の構造を明らかにすることを目的とした。 まず、二次スクリーニングで脂溶性および水溶性画分に活性の見られたPaenibacillus sp. S4株について、ワックスマン寒天培地上で固体培養を行った。5Lの培養寒天を凍結乾燥後、粉末状にし、2LのMeOHで3回抽出を行った。MeOH抽出物を減圧濃縮後、H_2O/EtOAcで二層分配を行い、さらに活性の見られたH_2O画分を等量のn-BuOHで抽出した。得られたn-BuOH画分をODSカラムクロマトグラフィーに付し、活性の見られた80%MeOH画分から、ODSを用いた逆相HPLCにより既知化合物であるpermetin AおよびYM-28160をそれぞれ3.5および4.4mg得ることが出来た。Permetin AおよびYM-28160の同定は加水分解物のアミノ酸分析、HRFABMS、各種NMRスペクトルデータの解析によって行った。Permetin AおよびYM-28160は藍藻類A.cylindrica、O.agardhii、M.aeruginosa、M.viridisに対して、30μg/diskで活性を示した。一方緑藻類C.vulgarisとC.tetragamaに対しては30μg/diskで活生を示さなかった。 さらに、藍藻Microcystisの群体を包む粘質物中に共存する細菌を多数分離し,細胞外プロテアーゼ産生菌が多く含まれることを示した。分離した菌株と無菌培養のMicrocystisとの二者培養実験により,プロテアーゼ産生菌はMicrocystisの増殖に阻害効果を示す有機物を分解することで,Microcystisの増殖を促進することを明らかにした。一方で,これらプロテアーゼ産生菌がMicrocystisの細胞に極めて近接した環境に生息していることから,Microcystisの産生するプロテアーゼインヒビターが生体防御的機能を果たしている可能性が推察された。
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Research Products
(1 results)