2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460115
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULTURE |
Principal Investigator |
長野 敏英 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10012006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 邦彦 筑波大学, 社会工学系・都市計画専攻, 助教授 (60182804)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (30018048)
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00159740)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境センター, 助教授 (80211895)
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Keywords | メラルーカ / バイオ資源 / 酸性硫酸塩土壌 / 泥炭湿地 / 造林 / 光合成特性 |
Research Abstract |
メラルーカの物質生産と環境;Melaleuca cajuputiの物質生産と環境の関係を明らかにするために、タイ国ナラチワの泥炭湿地林に生育するM. cajuputiの光合成特性についての実験を行った。同時に泥炭湿地林に生育している各種樹木の光合成特性の測定を行った。M. cajuputi光合成の光飽和は二酸化炭素濃度によって異なるが、ガス濃度が350ppmでは1000μmol/m^2/sec光飽和、光合成速度は12μmolCO_2/m^2/sec、ガス濃度が950ppmでは1500μmol/m^2/sec光飽和、光合成速度は24μmolCO_2/m^2/secとなった。また渦電流素子を用いて生育特性の連続モニタリング測定を行ったが、季節による水ストレス状態、生長速度の特性が明らかになった。 造林環境とメラルーカ生理作用;メラルーカ造林を目的に研究を行った。酸性硫酸塩土壌に、M. cajuputiを植栽して、樹木の活性と生長の測定を行ったが、M. cajuputiはアルミニウム耐性、湛水ストレス耐性を有し、泥炭湿地荒廃地において非常に有用な種であることが明らかになった。これは有機酸分泌とは異なる何らかのAl耐性機構が存在する可能性を示している。またM. cajuputiが湛水状態においても生育できるのは根において解糖系とアルコール発酵系の増大だけではなく、酵素を必要としないエネルギー獲得経路が根で働いていることが示唆された。 メラルーカの生態学調査研究;泥炭湿地の荒廃地で繁茂する先駆的樹木がM. cajuputiであるが、こうした攪乱に対して有利に働く生活史的戦略を見いだす事が出来た。果実は木質で、高温や乾燥に出会って始めて裂開し、保存していた種子がまとめて散布される。種子は非常に微細であるため、風に乗って遠距離まで散布される。種子は停滞水中に置かれ、また高温に曝されても発芽能力を失わない。樹体は薄い紙質の樹皮によって幾重にも被われ、高温・乾燥・過湿から保護されている。地下部が焼け残った場合、根萌芽により再生する。発芽後の個体は旺盛な成長を示し、特に乾季より雨季に成長量が増加する。発芽後2年ほどで開花し、種子を生産する。この様な、特性が明らかになり、過酷な環境条件での成育が旺盛である事が明らかになった。
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[Publications] K.Yoshino, T, Nagano et al.: "Classification of Vegetation in a Tropical Peat Swamp Area by Remote Sensing in Narathiwat of the Southern Part of Thailand"Rural and Environmental Engineering. No.42. 15-25 (2002)
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[Publications] K.Yoshino, T, Nagano et al.: "Distribution of Peat Depth in Tropical Peat Swamp Area in Narathiwat of the Southern Part of Thailand"Rural and Environmental Engineering. No.43. 13-22 (2002)
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[Publications] 吉野邦彦, 石田朋靖, 長野敏英: "係留型バルーンからの空中写真を用いた熱帯泥炭湿地林の地上部バイオマス量推定"写真とリモートセンシング. 39. 56-61 (2000)
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[Publications] T.Yamanosita, T.Nuyim, M.Masumori, T.Tange et al.: "Growth response of Melaleuca cajuputi to flooding in tropical peat swamp"Journal of Foest Research. 6. 217-219 (2001)
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[Publications] T.Hashimoto, K.Kojima, T.Tange, S.Sasaki: "Changes in carbon storage in fallow forests in the tropical lowlands of Borneo"Forest Ecology and Management. 126. 331-337 (2000)
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[Publications] S.Muramatsu, K.Kojima et al.: "Inhibition of the light-independent synthesis of chlorophyll in pine cotyledons at low temperature"Plant Cell Physiology. 42. 868-872 (2001)