粗飼料主体飼養時における馬のタンパク質消化と窒素代謝に関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12460116
• Research Institution: HOKKAIDO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 田中 桂一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30021710)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 谷口 幸三 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30093777) ; 小林 泰男 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50153648) ; 泰 寛 北海道大学, 北方生物園フィールド科学センター, 助教授 (30250492) ; 小櫃 剛人 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (30194632)
• Keywords: ウマ / 回腸末端カニューレ / 飼料中粗タンパク質含量 / 窒素出納 / 窒素蓄積量 / [^<15>N]塩化アンモニウム / 血漿遊離アミノ酸 / 菌体アミノ酸

Research Abstract

平成14年度は、回腸末端カニューレを装着した北海道和種馬4頭を供試し、2つの実験を実施し、以下のような結果が得られた。
1.飼料中粗タンパク質含量がウマの飼料利用および後腸内発酵に及ぼす影響
馬房内で個別に飼養し、チモシー乾草と大豆粕を用いて飼料中CP含量の異なる3処理を設け、各飼料をDMベースで体重の2.2%給与した。1期11日間(予備期7日間を含む)の物質出納試験を全糞全尿採取法で行い、消化率と窒素出納および後腸発酵の指標として糞中のDAPA濃度、pH、アンモニア態窒素と総VFA濃度・組成を測定した。飼料中CP含量の増加に伴いCP消化率、窒素蓄積量および蓄積率は有意に増加した。総VFA濃度およびアンモニア態窒素も有意に増加したが、pHは低下する傾向を示した。飼料中CP含量の増加に伴い、CPの小腸での消化が増加し、後腸流入窒素量が増加した。NDFおよびADFの全消化管消化率は処理間で差がみられず、また、DAPA濃度にも差がなかった。
2.ウマの回腸内に投与したアンモニア態窒素の血漿アミノ酸への移行
消化管内へ移行した内因性窒素の行方を明らかにするために、ウマの回腸内へ^<15>N標識アンモニア塩を投与し、体内アミノ酸への^<15>N移行を調べた。各2頭づつ乾草給与区(CP5.5%)と乾草+大豆粕区(CP13%)に分け、[^<15>N]塩化アンモニウムを回腸カニューレから投与した。糞、尿、頚静脈血を採取し、血漿および菌体アミノ酸の^<15>N標識を質量分析計を用いて測定した。結腸内菌体の各アミノ酸窒素はいずれも1%程度標識された。血漿遊離アミノ酸のうち、可欠アミノ酸の^<15>Nエンリッチメントが高っかたが、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リジンの窒素も標識された。リジンのアミノ基転移反応は体内では行われないことから、血壌アミノ酸の一部は結腸内の菌体アミノ酸に由来することが示唆された。

Research Products

• [Publications] K.Taniguchi, K.Tanaka他: "Use of A Rigid-Type Polyethylene T-Cannula, Silicone Tubing, and Adhesion Netting for Surgical Cannulation of Ileum of the Horse"J.Vet.Med.Sci.. (印刷中). (2003)