2001 Fiscal Year Annual Research Report
動物腸管付着性プロバイオティック乳酸菌の選抜・作出システムの構築とその応用
Project/Area Number |
12460117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 忠夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00118358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 泰 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00261496)
北澤 春樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10204885)
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Keywords | プロバイオティック乳酸菌 / ニワトリ腸管ムチン / ヒト腸管ムチン / プラズモン共鳴 / BIACORE / 腸管付着性 / レクチン / クローニング |
Research Abstract |
[目的] ヒトを含む動物の腸管にはビフィズス菌に加えて、アシドフィルス菌(L.acidophilusグループ乳酸菌)が腸管系乳酸菌として存在し、宿主の健康を左右している。近年、動物の生産現場では脱抗生物質の傾向が強く、プロバイオティック乳酸菌を利用した生産性の向上が望まれる。また、ヒトの健康保持にも、同プロバイオティック乳酸菌は発酵乳などに利用され始めている。本年度は、動物の健康に資する有用乳酸菌の新しい選抜系を構築し、スクリーニングされた乳酸菌の利用性について検討を進めることを目的とした。 [方法] 1.ニワトリ腸管付着性アシドフィルス菌の選抜とその特性解析 : プラズモン共鳴スペクトル法(SPR)を原理として生体分子間の相互作用を解析するBIACORE1000のセンサーチップにニワトリ腸管より調製した腸ムチンを結合させ、各種L.acidophilusグループ乳酸菌を流し、その相互作用解析よりプロバイオティック菌を選抜した。2.ヒト血液型糖鎖プローブを結合させたセンサーチップで、ヒト腸管付着性菌を予備的にマススクリーニングし、ついでヒト大腸ムチンを実際に結合させたセンサーチップで結合性の最終確認を行った。3.ムチン糖鎖の認識性の高い菌体表層からレクチンを特定し、その単離精製とクローニングを試みた。 [結果と考察] ニワトリ腸ムチンを結合させたチップには、同腸管から単離されたとされる菌株保存機関の菌種は付着が弱かった。しかし、実際にその腸管より単離した菌株自体は極めて強い付着性を示した。ヒトのABO式血液型のA型糖基質のエピト-プ部位への吸着性では、高い付着性を示す菌株3つが選抜された。これは、実際にヒト大腸ムチン(A型)に対しても結合性が強く、その利用性が期待された。BIACOREでの解析による菌体とムチンとの結合性の判定は極めて明確であり、アシドフィルスグループ乳酸菌の中では、突出してL.crispatusが強く結合した。これらレクチンの一部は、単離精製され、クローニングによりそれらの塩基配列の一部か解明された。
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