2002 Fiscal Year Annual Research Report
Ancient DNA解析からみた日本在来犬の起源と分布に関する分子進化学的研究
Project/Area Number |
12460121
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Research Institution | OBIHIRO UNIVERSITY OF AGRICULTURE AND VETERINARY MEDICINE |
Principal Investigator |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 直人 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90241504)
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20303919)
松井 章 奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225)
上原 静 沖縄国際大学, 文学部, 講師 (40320519)
江上 幹幸 沖縄国際大学, 文学部, 助教授 (30320518)
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Keywords | DNA / ミトコンドリア / 考古学 / 分子進化 / PCR / ハプロタイプ |
Research Abstract |
本研究は、縄文時代から中世にかけての遺跡より出土する古代犬とオオカミの骨に残存するミトコンドリアDNA (mtDNA)を分離・増幅して古代犬を遺伝子面で復原し、現生犬と現生オオカミから構築したデータベースと比較することより日本在来犬の起源と変遷を遺伝的に明らかにすることである。本年度は、中国の古代犬試料の解析とニホンオオカミの遺伝的な解析を主に行い、日本の古代犬への遺伝的影響について重点的に解析した。 1)中国試料のDNA分析と日本在来犬との遺伝的関係:中国の3遺跡(上海馬橋・大旬子・河南花国庄)から出土した古代犬のDNA分析を行った結果、25サンプル中10サンプルより残存遺伝子が増幅された。系統解析の結果、クラスター3に属し現生犬のM20に分類された1サンプルを除いて、9サンプルがクラスター1に属した。クラスター1に属した9サンプルは日本の古代犬で検出されたタイプM5,M10,M11であり、日本の古代犬は大陸由来であることが明かとなった。また、これまでに検出されなかった新たなハプロタイプも検出された。これらの結果は日本在来犬の遺伝的起源が大陸由来であり、人の移動により日本に渡来したものと思われる。 2)ニホンオオカミの遺伝的復原と日本在来犬との関係:日本在来犬とニホンオオカミとの遺伝的な関係は不明のままであったことから、ニホンオオカミのmtDNAを解析した。形態的にニホンオオカミと同定されている骨を6試料(高知県:仁淀村、熊本県産、国立科学博物館所蔵の3試料、縄文中期1試料)を検索した結果、5試料からmtDNA(750bp)の増幅に成功した。系統解析の結果、ニホンオオカミは犬と大陸のオオカミの中間に位置した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shoko Takahashi: "Lineage classification of canine inheritable disorders using mitochondrial DNA haplotupes"J. Vet. Med. Sci.. 64・3. 255-259 (2002)
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[Publications] Yasuko Morii: "Ancient DNA reveals genetic lineage of Sus scrofa among archaeological sites in Japan"Anthropol. Sci.. 110・3. 313-328 (2002)
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[Publications] Takuma Watanobe: "Prehistoric introduction of domestic pigs onto the Okinawa Islands : ancient Mitochondrial DNA evidence"J. Mol. Evol.. 55. 222-231 (2002)
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[Publications] Naotaka Ishiguro: "Multiple nuclear pseudogenes of mitochondrial DNA exist in the canine genome"Mammalian Genome. 13. 365-372 (2002)