2001 Fiscal Year Annual Research Report
他種ウイルス遺伝子導入によるヘルペスウイルスの宿主特異性の変化の研究
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12460133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 治城 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80261957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 芳嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00173922)
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90251420)
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Keywords | BHV-1 / PRV / semi-permissive / non-permissive / GFP / BHV-1 / TF7-6 / Th1 / Th2 |
Research Abstract |
平成12年度までの研究において、ウシヘルペス1型ウイルス(BHV-1)にブタオーエスキー病ウイルス(PRV)の糖タンパクgBおよびgC遺伝子を組み込んだBHV-1/TF7-6を構築し、これのBHV-1の本来の宿主ではないsemi-permissiveおよびnon-permissive細胞への吸着、侵入能が著しく増大していることを明らかにした。本年度においてウイルスのマウス細胞(non-permissive)への吸着、侵入を蛍光顕微鏡を用いて追跡するためにBHV-1/TF7-6のゲノムにくらげ由来の蛍光タンパクGFPの遺伝子を組み込んだ組み換えウィルスBHV-1/TF7-6/GFPおよび親ウィルスにGFP遺伝子を組み込んだBHV-1/GFPを構築した。組織培養細胞であるBALB/c/A31を用いて感染実験を行ない、蛍光を観察した結果、PRVのgBおよびgCを発現するBHV-1/TF7-6/GFPは親株に比して感染細胞内で強い蛍光を発し、細胞への吸着侵入能が著しく増大していることが確認された。さらにマウスの腸間膜をin vitroにて保温しBHV-1/TF7-6/GFPを感染させたところ、強い細胞内蛍光が観察された。PRVのgB, gCを発現しないBHV-1/GFPは腸間膜細胞に感染させても殆ど蛍光が見られないことから、PRVのgB, gCがマウス組織細胞へのBHV-1の吸着、侵入能を増大させていることが明らかになった。マウス腸間膜細胞への吸着侵入の増加がin vivoにおける免疫誘導にどのように反映するかを検討するために、マウス腹腔内に接種してBHV-1/TF7-6と親株との比較を試みた。その結果、BHV-1/TF7-6は比較的Th1誘導能が高く、親株はTh2誘導型である事を示唆するデータが得られた。これはBHV-1/TF7-6が腹腔内の細胞に侵入して、細胞内で処理され、抗原が細胞表面に提示されるのに対し、親株は組織細胞内に侵入出来ない結果ウイルス粒子が直接マクロファージに取り込まれて主としてTh2型の抗原提示されることを反映するものと考えられた。したがってBHV-1/TF7-6は細胞性免疫を主として誘導するためのワクチンベクターとして利用可能であると考えられた。
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[Publications] Nakamichi, K., Matsumoto, Y, Otsuka, H: "Defective infection of bovine herpesvirus 1 in non-permissive muline cells."J.Vet.Med.Sci. 63. 1139-1142 (2001)
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[Publications] Takashima, Y., Nagane, N., Hushur, O., MatsuMoto, Y., Otsuka, H: "Bovine Herpesvirus-1 (BHV-1) Recombinant Expressing Pseudorabies Virus (PrV) Glycoproteins B and C Induces Type 1 Immune Response in BALB/c mice"J.Vet.Med.Sci. (In press). (2002)