2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12460138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
増田 健一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40313077)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
奥田 優 山口大学, 農学部, 助手 (10325243)
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Keywords | 犬 / 猫 / 腫瘍マーカー / テロメラーゼ / P53 / MDM2 / クローナリティー / P糖蛋白 |
Research Abstract |
獣医臨床における腫瘍マーカーの有用性を確立するため、以下のような研究を行った。 (1)血清中腫瘍マーカー:犬の肝癌症例について血清中腫瘍マーカーの検討を行ったところ、AFPの上昇が高頻度に認められ、またそのレクチン分画の解析が非腫瘍性疾患との鑑別に有用であったが、PIVKAII,CA19-9,CEA,SLKについては検出されなかった。また、犬の各種悪性腫瘍症例においてVEGFを測定したところ、約60%の症例でその上昇が認められた。 (2)テロメラーゼおよびTERT:犬の乳腺腫瘍症例において検討した結果、テロメラーゼおよびTERTは95%以上の症例で検出され、マーカーとして有用であることが示された。テロメア長は、乳腺腫瘍組織においても維持されていることが明らかとなったが、腫瘍の悪性度との関連は認められなかった。 (3)p53およびMDM2:犬の悪性腫瘍症例においてp53遺伝子の解析を行ったところ、約50%の症例においてその変異が検出され、それらの多くはP53のDNA結合ドメインや多量体形成ドメインなどの機能ドメインに存在することがわかった。MDM2は犬の悪性腫瘍症例の約80%においてその発現増強が認められた。 (4)細胞のクローナリティー:猫の各種骨髄疾患において骨髄細胞のクローナリティーを解析した結果、モノクローナルな細胞集団がAMLおよびMDSにおいて検出されたのに対し、再生不良性貧血においては検出されなかった。このことから、MDSがAMLの前白血病状態であり、クローナリティーの解析が腫瘍性疾患の診断に有用であることが示された。 (5)P糖蛋白(P-gp):猫のP-gpをコードするmdr1遺伝子の一次構造を明らかにし、その発現が薬剤耐性に関連することを示した。犬のリンパ腫症例においては、薬剤耐性の症例のうち、約60%の症例でmdr1遺伝子の発現増強が認められた。このことからP-gpが腫瘍細胞の薬剤耐性マーカーの一つとなることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Setoguchi,A. et al.: "Aberration of p53 tumor suppressor gene in various spontaneous tumors in dogs."Am.J.Vet.Res.. (In press). (2001)
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[Publications] Setoguchi,A. et al.: "Detection of hyperamplification of centrosomes in dog spontaneous tumors."Am.J.Vet.Res.. (In press). (2001)
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[Publications] Okai,Y. et al.: "Molecular analysis of multidrug resistance in feline lymphoma cells."Am.J.Vet.Res.. 61. 1122-1127 (2000)
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[Publications] Hisasue,M. et al.: "Clonality analysis of various hematopoietic disorders in cats naturally infected with feline leukemia virus."J.Vet.Med.Sci.. 62. 1059-1065 (2000)
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[Publications] Hisasue,M. et al.: "Hematological abnormalities and outcome of 16 cats with myelodysplastic syndromes."J.Vet.Int.Med.. (In press). (2001)
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[Publications] Ishizaka,T. et al.: "Molecular cloning of feline interferon-gamma-inducing factor (interleukin-18) and its expression in various tissues."Vet.Immunol.Immunopathol.. (In press). (2001)