2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 茂夫 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40124797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 琢磨 京都大学, 情報学研究科, 助手 (10311747)
松村 潔 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (10157349)
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Keywords | 冷細胞 / サーモスタット / パッチクランプ / 後根神経節 / 相転移 / 細胞内Caイメージング / カチオンチャンネル |
Research Abstract |
哺乳類の視床下部,延髄,脊髄の温度を局所的に変化させると,変化を妨げる向きの体温調節反応が生じる。そこで,多数のサーモスタットが深部体温を調節すると考えられる。それらの場所にある温細胞と冷細胞は温度のセンサーと説明されてきた。そしてセンサーからの信号を受けて体温調節反応を引き起こすサーモスタットが仮定された。しかし,サーモスタットの同定に失敗した。これに対し,温細胞は芯温を暑さから守るサーモスタット,冷細胞は芯温を寒さから守るサーモスタットだと私たちは提案する。また,皮膚の温・冷線維は,皮膚温を暑さ,寒さから守るサーモスタットと考えられる。しかし,サーモスタットの動作機構は明らかでなかった。 この研究では,皮膚冷受容器の温度受容機構を解析した。感覚神経の細胞体があるラット後根神経節(DRG)を摘出し,初代分散培養したニューロンを作った。ニューロンにCa蛍光指示薬fura-2を負荷し,冷却で細胞内Caイオン濃度が上昇する細胞を冷受容器細胞と同定した。この細胞からパッチクランプ記録し,イオン機構を探った。ホールセル電流固定法では,冷却は静止電位からの脱分極を誘発し,インパルスを発生した。この脱分極は,冷受容体が誘発した受容器電位と考えられる。次に,受容器電位のイオン機構を解析した。ホールセル電位固定下(-60mV)では,メントールは内向き電流を誘発した。その電流-電圧曲線から,冷却が非選択的カチオンコンダクタンスを活性化すると示唆された。次に,冷細胞から切離した膜片から単一チャンネル電流を記録した。温度が閾以下に下がったとき,チャンネルは静止相から活動相に相転移した。このことから,冷受容器は陽イオンチャンネルであり,そのチャンネルがサーモスタットの最小単位だと分かった。相転移がサーモスタットの動作機構と考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Okazawa, M., Takao K., Hori A., Shiraki, T., Matsumura K, Kobayashi, S.: "Ionic basis of cold receptors acting as thermostats"Journal of Neuroscience. (印刷中). (2002)