2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン / グリア / bHLH因子 / 神経発生 / 運命決定 / レトロウイルスベクター / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
哺乳動物の神経発生過程は、(1)神経幹細胞の増殖・維持、(2)神経幹細胞からニューロンの分化、(3)神経幹細胞からグリアの分化という3つに分けることができる。本研究では、これら3つの過程を制御する転写因子を明らかにした。 (1)ニューロンの分化を制御する転写因子 促進性bHLH型転写因子Math3をレトロウイルスベクターを用いて強制発現させたところ、神経幹細胞はニューロンに分化した。また、Math3と多くの領域で一緒に発現している促進性bHLH型転写因子Mash1にも同様の活性があった。次に、Math3-Mash1ダブルノックアウトマウスを作製したところ、神経系の多くの領域で幹細胞からニューロンへの分化がブロックされていた。しかも、本来ニューロンになるべき細胞がすべてグリア細胞に運命転換していた。すなわち、Math3とMash1は幹細胞からニューロンへの運命決定を行うことが明らかとなった。 (2)神経幹細胞の維持およびグリアの分化について 抑制性bHLH因子Hes1やHes5をレトロウイルスベクターを用いて強制発現させたところ、神経幹細胞に止まるかグリア細胞に分化した。Hes1やHes5はMath3やMash1の機能を抑制するので、両HesはおそらくMath3-Mash1ダブルノックアウトマウスと同じ状況を作ることによって神経幹細胞にとどめるかグリアへの分化を決定することが示唆された。 以上の結果から、神経幹細胞の維持(Hes1,Hes5)、幹細胞からニューロンへの分化(Math3,Mash1)、幹細胞からグリア細胞への分化(Hes1,Hes5)のいずれもがbHLH因子によって制御されることが明らかとなった。特に、促進性および抑制性bHLH型転写因子間のバランスによって正常な神経発生がなされるという結果が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tomita,K., et al.: "Mammalian achaete-scute and atonal homologs regulate neuronal versus glial fate determination in the central nervous system."EMBO J.. 19. 5460-5472 (2000)
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[Publications] Hojo,M., et al.: "Glial cell fate specification modulated by the bHLH gene Hes5 in mouse retina."Development. 127. 2515-2522 (2000)
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[Publications] Bae,S.-K., et al.: "The bHLH gene Hes6, an inhibitor of Hes1, promotes neuronal differentiation."Development. 127. 2933-2943 (2000)
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[Publications] Hirata,H., et al.: "Generation of structurally and functionally distinct factors from the bHLH gene Hes3 by alternative first exons."J.Biol.Chem.. 275. 19083-19089 (2000)
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[Publications] Satow.T., et al.: "The bHLH gene hesr2 promotes gliogenesis in mouse retina."J.Neurosci.. 21. 1265-1273 (2001)
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[Publications] Hatakeyama,J., et al.: "Roles of homeobox and bHLH genes in specification of a retinal cell type."Development. 128. 1313-1322 (2001)