2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞がんの肝内転移の機構の解析と、診断、治療への応用
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12470049
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
坂元 亨宇 国立がんセンター, 研究所病理部, 部長 (40221270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 元 国立がんセンター, 研究所病理部, 研究員 (90321877)
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Keywords | 転移 / 細胞運動性 / インテグリン / カドヘリン / c-Src / Rho / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
既に確立した肝内転移モデルと、LPA-Rho-p160ROCKを介した細胞運動性が肝内転移に重要な役割を果たしているという知見を基に、以下の検討を行った。1)高転移性肝がん細胞株KYN2が、基質との接着により、カドヘリン系の不活化、細胞の分散、高い細胞運動性を示す機構につき検討した。KYN2は基質との接着によりαカテニンの減少と、c-Srcの活性化が認められたが、この現象は、機能抑制型抗インテグリン抗体(抗β1+β5)により抑制された。さらにc-SrcはEカドヘリン、βカテニンと共沈することを示したが、その直接の基質については特定できなかった。この細胞に、c-Srcの機能抑制型遺伝子変異体を導入すると、ラフリングが消失し、stress fiberと明瞭な接着斑の形成がみられ、細胞運動能は低下した。C-Srcの活性化が、接着班のturnoverに関わっている可能性が示唆された。また、カドヘリン系、インテグリン系に細胞骨格系も合わさった複雑な相互作用が、がん細胞の運動性、そして浸潤・転移に深く関わっている事を示していると考えられた。2)別の高転移性肝がん細胞株Li7を用いたSCIDマウス肝内転移モデルにおいて、Rhoキナーゼ特異的阻害薬であるY-27632(ウェルファイドより供与)持続投与による転移抑制効果につき検討した。in vitroにおいて、Y-27632はLPA刺激により誘導されるLi7の葉状突起形成、分散を抑制した。in vivoにおいて、対照群では肉眼的および組織学的肝内転移の頻度はそれぞれ4/10、9/10であったが、治療群では、0/8、4/8と明らかに減少していた。さらに、対照群で形成された腫瘍は周囲肝組織に浸潤性に発育する傾向にあったが、治療群で形成された腫瘍は周囲肝組織に対し圧排性に発育する傾向にあり、増殖パターンに変化がみられた。以上より、肝細胞がんの肝内転移に対する治療として、Y-27632投与が有効であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Genda,T.,Sakamoto,M.,Ichida,M.,Asakura,H.,Hirohashi,S.: "Loss of cell-cell contact is induced by integrin-mediated cell-substratum adhesion in highly-motile and highly-metastatic hepatocellular carcinoma cells."Lab Invest.. 80(3). 387-394 (2000)
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[Publications] Takamura,M.,Sakamoto,M.,Genda,T.,Ichida,T.,Asakura,H.,Hirohashi,S.: "Inhibition of intrahepatic metastasis of human hepatocellular carcinoma by Rho-associated protein kinase inhibitor Y-27632."Hepatology. (In press). (2001)
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[Publications] Yamamoto,Y.,Sakamoto,M.,Fujii,G.,Kanetaka,K.,Asaka,M.,Hirohashi,S.: "Cloning and characterization of a nvel gene, DRH1, down-regulated in advanced human hepatocellular carcinoma."Clin.Cancer Res.,. (In press). (2001)