2000 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマ科原虫ピリミジン合成経路の6酸素の全遺伝子と発現タンパク質の解析
Project/Area Number |
12470061
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
青木 孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (20053283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 淳子 順天堂大学, 医学部, 講師 (20211964)
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90138206)
奈良 武司 順天堂大学, 医学部, 助手 (40276473)
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Keywords | ピリミジンヌクレオチド / 新生合成経路 / pyr遺伝子群 / 遺伝子クラスター / トリパノソーマ / リーシュマニア / 多機能タンパク質 / 代謝経路の進化 |
Research Abstract |
ピリミジンヌクレオチドは核酸の構造・機能単位として生命に必須であり、その新生合成(de novo)経路は6段階の酵素反応から成る。6種の酵素はそれぞれの遺伝子(pyr1、pyr2、pyr3、pyr4、pyr5、pyr6)によってコードされ、原核生物では独立のタンパク質あるいはサブユニットとして存在する。これに対して動物では第1-第3-第2および第5-第6酵素はそれぞれ多機能タンパク質として細胞質に局在し、第4酵素はミトコンドリア局在性である。筆者らは、シャーガス病の病原体であるTrypanosoma cruziのゲノムDNAを25kbにわたり解析して全pyr遺伝子を同定した(イントロンは存在しない)。これらの遺伝子は5'-側からpyr1、pyr3、pyr6-5、pyr2、pyr4の順に800kbおよび1000kbの染色体DNA上にpolycistronicな転写ユニットとして存在し、転写後、trans-splicingによって各成熟mRNAが形成される。同様な遺伝子クラスターはトリパノソーマに近い種のリーシュマニアにも存在することが分った。トリパノソーマと同様にリーシュマニアの各酵素は、第6酵素を除きヒトあるいは出芽酵母の酵素に相同性が高く、古細菌や細菌類の酵素に対して低いホモロジーを示し、特に第1、第2、第3酵素は初期の真核生物型としての可能性が得られた。また、第4酵素は細菌の一種と出芽酵母の酵素に対してのみ相同性が高く、その基盤として過去の遺伝子水平転位が推測された。pyr6-5がコードする第6、第5酵素は動物の酵素とは逆順に結合した多機能タンパク質であり、C末端にグリコソームへの移行シグナルSer-Lys-Leuを有する独特なものあった。以上、原核生物とも高等動物とも異なる独特な事実が発見され、それに基づいてピリミジン合成経路の進化の全体像が解析され、新規な重要な成果が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nara T,Hashimoto T,Aoki T: "Evolutionary implications of the mosaic pyrimidine-biosynthetic pathway in eukaryotes"Gene. 257(2). 209-222 (2000)
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[Publications] 奈良武司,三上由祐子,青木孝: "クルーズトリパノソーマにおけるピリミジン生合成経路初段3酵素のタンパク質相互作用"第70回日本寄生虫学会大会記録. 102-102 (2001)
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[Publications] 高島英造,奈良武司 他: "Trypanosoma cruziのコハク酸/フマル酸酸化還元系について"第70回日本寄生虫学会大会記録. 103-103 (2001)