2001 Fiscal Year Annual Research Report
幼若Tリンパ球の分化方向と位置移動を決定づける分子シグナル
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12470077
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高濱 洋介 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)
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Keywords | Tリンパ球 / 細胞分化 / 胸腺 / ケモカイン / アポトーシス / CCL19 / 正と負の選択 / Nurr77 |
Research Abstract |
幼若丁リンパ球の正負選択における細胞生死の分岐シグナルを解析した。その結果、負の選択におけるアポトーシス誘導に必須の関与を示す転写因子Nur77は、Tリンパ球内でセリンスレオニンキナーゼのひとつAktによって直接リン酸化され、リン酸化の結果として転写活性が抑えられることが明らかになった。一方、AktはT細胞抗原受容体刺激により活性化され、PI3キナーゼ阻害剤は正の選択プロセスを含むTリンパ球分化を抑制した。これらの結果から、正の選択においてTCRシグナルの下流にてPI3キナーゼの活性化を経てAkt活性化へと至るシグナル伝達経路の発動がNur77のリン酸化をもたらし、その結果Nur77のアポトーシス誘導機能を抑制することが示唆された。すなわち、正と負の選択におけるTリンパ球の生死運命分岐にAktによるNurr77のリン酸化という新たな制御スイッチが存在することが示唆された。 また、Tリンパ球分化に伴う細胞の位置認知と移動を解析するため、胸腺細胞の移動を経時的に直接顕微鏡下でトレースする新規器官培養法を開発した。この新手法を用いて胸腺にて成熟したTリンパ球の胸腺から末梢血への移出機構を解析した。その結果、ケモカインのひとつCCL19とその受容体CCR7を介したシグナルが新生仔期におけるTリンパ球の胸腺移出に必須の関与を示すことが明らかになった。また、CCR7欠損マウスでの胸腺移出の解析から、成体ではCCL19とCCR7には非依存性の胸腺移出機構も存在することが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ueno, T., et al.: "Role for CCR7 ligands in the emigration of newly generated T lymphocytes from the thymus"Immunity. (in press). (2002)
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[Publications] Sano, S., et al.: "Stat3 in thymic epithelial cells is essential for postnatal maintenance of thymic architecture and thymocyte survival"Immunity. 15. 261-273 (2001)
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[Publications] Masuyama, N., et al.: "Akt inhibits the orphan nuclear receptor Nur77 and T cell apoptosis"J. Biological Chemistry. 276. 32799-32805 (2001)
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[Publications] Tada, M., et al.: "Nuclear reprogramming of somatic cells by in vitro hybridization with ES cells"Current Biology. 11. 1553-1558 (2001)
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[Publications] Yoh, K., et al.: "Transgenic over-expression of Mafk suppresses T cell proliferation and function in vivo"Genes to Cells. 6. 1055-1066 (2001)
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[Publications] Takahama, Y.: "Genetic modulation of immature T lymphocytes and its application"J. Med. Invest.. 48. 25-30 (2001)
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[Publications] 鈴木大介: "実験医学増刊号 免疫研究の最前線2001"羊土社. 7 (2001)