2000 Fiscal Year Annual Research Report
ルビジウムの生体内における代謝機構およびその機能の解明
Project/Area Number |
12470088
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 健 北海道大学, 医学部, 助教授 (40153811)
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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Keywords | ルビジウム / 必須元素 / 微量元素 / 正常値 / 血清 / 脳脊髄液 / 低ルビジウム食 / ホメオスタシス |
Research Abstract |
ルビジウム(Rb)はこれまで注目を集める事の少ない元素であり、動植物における必須性は不明である。体内にも、食品にも、環境中にもかなりの濃度で存在するので、欠乏状態が生じにくいことによるのかもしれない。最近、分析法の発展により、感度、精度良く測れるようになった元素のひとつである。 申請者らの分析結果では健康成人の血清中Rb濃度は男0.41±0.18μg/ml(n=337)、女0.33±0.15μg/ml(n=118)であった。これは人間ドックの廃棄血清を貰いうけた試料の結果である。 Rbは脳のあらゆる部分にppmのオーダーで検出される。このことは血液-脳関門を通過し、濃縮されることを意味している。申請者らはこの事実に注目し、ルビジウムは必須元素の一つであり、その必要性から血液-脳関門を通過し、脳のそれらの部位に存在しているという仮説を立てた。 精神科領域を受診した患者の血清と脳脊髄液を入手しRb濃度を測定したところ、血清では0.14±0.04μg/ml(n=56)、脊髄液では0.04±0.02μg/ml(n=59)でおり、脊髄液中の濃度は血清中の約1/4と低値であった。 一方、動物実験においてintactマウスの臓器中Rb濃度は3〜13μg/g wet organでおり。臓器による差は小さい。intactマウスの血漿中Rbは0.20±0.02μg/mlであり、ヒト血清中濃度と変わりない。低Rb食を給餌すると、骨Rb濃度は約1/5に、脾Rb濃度は約1/2に低下する。しかし脳、肝、腎、、膵、胸腺では変化しなかった。低Rb食で、かつマグネシウム・カリウム欠乏食を給餌した場合には肝Rb濃度が低下した。 上記の結果から、Rbは血清中では組織中より1オーダー低い濃度で存在すること、さらに脳脊髄液中では血清中濃度の1/4程度であること、食事からのRb供給が少ない時、骨から動員し、臓器中の通常のレベルを維持することが判明した。その機能の解明は来年度実施する予定である。
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