2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470090
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
遠山 千春 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 領域長 (10150872)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雅彦 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (20256390)
|
Keywords | メタロチオネイン / 化学発がん / 抗発がん作用 / 遺伝子欠損マウス / ジメチルベンズ(a)アントラセン / ベンゾ(a)ピレン / 小核試験 / 遺伝子損傷 |
Research Abstract |
環境発がん感受性要因としてのメタロチオネインの重要性を明らかにする目的で、メタロチオネイン-Iおよび-IIの発現を抑えたメタロチオネイン遺伝子欠損マウスを用いて、化学発がんに対するメタロチオネインの防御効果を検討した。 (1)12-dimethylbenz(a)anthracene(DMBA)による肝臓および肺発がん 10週齢雌のメタロチオネイン遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスにDMBA(12.5mg/kg)を週1回、6週間連続経口投与し、その32週間後に肝臓並びに肺での腫瘍の有無を観察した。その結果、DMBAを投与したメタロチオネイン遺伝子欠損マウスの腫瘍発生率は、肝臓で57%、肺で43%であった。一方、DMBAを投与した野生型マウスでは、肝臓で22%の腫瘍発生率を示したが、肺での腫瘍の発生は認められなかった。 (2)Benzo(a)pyren(B(a)P)による遺伝子損傷 6週齢雄のメタロチオネイン遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスに、コーン油に溶解したB(a)P(250mg/kg)を1回経口投与して、その24時間後に末梢血(網状赤血球)小核誘発頻度並びに血清中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)量を測定した。その結果、B(a)Pを投与したメタロチオネイン遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスでは、共に小核誘発頻度が増加し、両マウス間を比較すると、メタロチオネイン遺伝子欠損マウスの方が野生型マウスに比べて小核誘発頻度の有意な増加が認められた。また、血清中8-OHdG量は、B(a)P投与により両マウス共に増加したが、両マウス間で有意な差は認められなかった。 以上の結果より、メタロチオネインは、DMBAによる肝臓および肺での腫瘍の発生や末梢血小核誘発頻度を指標にしたB(a)Pによる遺伝子損傷に対して防御的に作用することが示された。
|