2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子制御による胆汁酸の免疫調節作用に関する研究
Project/Area Number |
12470117
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
平野 史倫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60250552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 勲 旭川医科大学, 医学部, 副学長 (60088854)
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Keywords | 胆汁酸 / 転写因子 / farnesoid X receptor / NF-κB / RANTES / IAP-1 / ケモカイン / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究は胆汁酸の免疫調節作用を転写因子farnesoid X receptor(FXR)とNF-κBなどによる制御から解明しようとするものであり、平成12年度から平成14年度の3年間で計画されている。本年度は、最終年度にあたり胆汁酸によって活性化されるNF-κBの活性化機構、およびFXRとの相互作用について検討した。 その結果、胆汁酸によるNF-κBの活性化に細胞内の酸化ストレスが重要であることが明らかとなり、肝細胞におけるレドックス制御がNF-κBの活性化を調節する可能性が示唆された。一方、細胞内情報伝達系、特にリン酸化酵素に及ぼす胆汁酸の作用として、MAP3Kに位置するMEKK1とMAPキナーゼに位置するp38を活性化している事実を明らかにした。これらMEKK1とp38はともにNF-κBの活性化に関与しているリン酸化酵素として知られており、これらの経路を介してNF-κBが活性化されていることが推測された。さらに、NF-κBのコンポーネントであるp65とFXRが相互作用を有し、ともにそれぞれの固有の標的遺伝子の転写を相乗的に正に調節していることを明らかにした。かかる成績は、腸肝循環とコレステロール代謝のみで作用すると考えられているFXRが炎症や免疫反応に直接関与していることを示唆している。実際、胆汁酸がケモカインRANTESや抗アポトーシス分子IAP-1の発現を転写レベルで正に調節していることを明らかにした。なかでも、胆汁酸がIAP-1の発現を誘導する事実は肝臓内で胆汁酸が肝細胞の生存維持に直接関与していることを示唆し、胆汁酸作用をさらに飛躍的に発展させる発見と思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirano F: "Inhibition of TNF-α-induced RANTES expression in human hepatocyte-derived cells by fibrates, the hypolipidemic drugs"Int Immunopharmacol. (in press). (2002)
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[Publications] Hirano F: "TNF-α induced RANTES chemokine expression via activation of NF-κB and p38 MAP kinase : roles of TNF-α in alcoholic liver diseases"J Hepatol. (in press). (2002)
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[Publications] Hirano F: "Thrombin-induced expression of RANTES mRNA through protease activated receptor-1 in human synovial fibroblasts"Ann Rheum Dis.. 61(9). 834-837 (2002)
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[Publications] Hirano F: "Nuclear factor-κB regulates RANTES chemokine expression in response to tumor necrosis factor-α in fibroblast-like synoviovytes"Mod Rheumatol. 12(1). 37-43 (2002)
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[Publications] Hirano Y: "Fibrates suppress chenodeoxycholic acid-induced RANTES expression through inhibition of NF-κB activation"Eur J Pharmacol. 448(1). 19-26 (2002)
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[Publications] 平野史倫: "胆汁酸とアポトーシスの誘導:最近の知見"BIO Clinica. 17(11). 983-987 (2002)