2002 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜上皮の相互依存的機能構築機序とその機序崩壊に伴うピロリ菌接着能の発現
Project/Area Number |
12470118
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
竹内 利行 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00109977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 健太郎 自治医科大学, 消化器内科, 教授 (60179116)
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Keywords | 胃粘液上皮 / 被蓋上皮細胞 / ガストリン / ガストリン受容体 / 萎縮性胃炎 / カルパイン / カルパスタチン |
Research Abstract |
胃粘膜上皮は酸分泌壁細胞、ペプシノゲン分泌主細胞、粘液分泌細胞など、種々の高次機能をもつ細胞群から構成されている。申請者らは、胃粘膜上皮の機能はそれぞれの細胞どうしが相互依存的に機能を支えあうことによって構築され、特定の細胞が増殖、あるいは欠落すると、その細胞型のみならず、その他の細胞型も消失し、粘膜は未分化細胞群に置き替わると考えている。ピロリ菌が胃粘膜上皮(GSM)に感染すると、GSM細胞は脱落し、その母細胞群の細胞回転が盛んになり、腺部の胃酸分泌細胞、ペプシノゲン分泌細胞は徐々に脱分化、脱落し、機能が低下する。すなわち、胃粘膜増殖帯上部では壁細胞とGSM細胞、下部では壁細胞とネック細胞、主細胞間に相互依存的機能維持機構が存在し、この維持機構が崩壊すると粘膜委縮の状態となると考えている。 我々はこの機能維持機構の崩壊にピロリ菌感染で分泌が亢進するガストリンが関与すると考え、高ガストリン血症マウスを作成した。このマウスの胃粘膜は性状の倍の高さに伸長していたが、壁細胞と主細胞から成る腺部は逆に縮小した。またGSM06培養細胞をガストリン存在下で培養すると、ガストリン受容体発現が上昇し、増殖が促進した。 この研究の遂行中に、我々はカルパイン蛋白分解酵素nCL2がGSM細胞に特異的に発現していることを見出した。nCL2は胃粘膜のTop-pit領域に強く染色される。これに対して、カルパインのインヒビター、カルパスタチンは胃粘膜増殖帯からmid-pit領域で強く発現している。GSM細胞はカルパスタチンの発現が消失するとカルパインが活性化され、細胞間の接着が緩み、胃内腔に脱落すると考えられる。今後、GSM細胞でカルパイン、カルパスタチンの発現がどのようにガストリンや増殖因子などで制御されているかを検討する。
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[Publications] M.Kanai, Y.Konda, Y.Izumi, et al.: "Anti-apoptotic effects of TGF-α on gastric pit cells via NF-κ B"Gastoenterology. 121. 56-67 (2001)
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[Publications] T.Nakjima, Y.Konda, Y.Izumi, et al.: "Gastrin stimulates the growth of gastric pit cell recursors by inducing its own receptors"Am. J. Physiol.. 282. G359-G316 (2002)
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[Publications] T.Nakajima, Y.Konda, Y.Izumi, et al.: "Gastrin interferes with the differentiation of gastrine pit cells"Aliment. Pharmacol. Ther.. 16. 3-9 (2002)