2002 Fiscal Year Annual Research Report
新たな消化管ペプチドグアニリンとグレーリンによる消化管上皮機能の分子生物学的研究
Project/Area Number |
12470123
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
中里 雅光 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (10180267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (00112417)
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Keywords | 消化管ペプチド / グアニリン / グレリン / 水電解質代謝 / 消化管内分泌細胞 / 摂食調節 / 胃酸分泌 / 胃運動調節 |
Research Abstract |
【1】オーファン受容体であった成長ホルモン分泌促進因子受容体の内因性リガンドとして、ヒトとラットの胃からグレリンを発見し、その細胞局在を示した。グレリンは、脳内では視床下部弓状核に産生ニューロンが存在する。グレリンは強力な成長ホルモン分泌活性に加え、脂肪蓄積、摂食冗進や体重増加、消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用を持つ(Nature 2001)。【2】グレリンは膵α細胞でグルカゴンと共存している。膵β細胞にはグレリン受容体が存在し、グレリンはCa2+系を介してβ細胞からのインスリン分泌を促進する(Diabetes 2002)。【3】胃から分泌されたグレリンの摂食冗進と成長ホルモン分泌促進に関する情報は、胃に分布する迷走神経求心路を介して、脳に伝達されることを明らかにした。グレリン受容体は迷走神経節で合成され、迷走神経求心路により胃に輸送される。胃内分泌細胞から分泌されるグレリンは受容体に結合後、迷走神経求心路の電気活動を抑制することにより、情報を延髄へ伝達する。この情報は延髄の弧束核で別のニューロンを経由し、最終的に視床下部のNPYニューロンやGHRHニューロンへ伝達される(Gastroenterology 2002)。【4】グレリンの産生と分泌は、絶食やインスリンおよびレプチン投与で促進され、摂食やグルコース負荷で抑制されたヒト血漿グレリン濃度は体格比と逆相関し、神経性食思不振症のようなやせで高く、肥満者で低い。またヒトでの概日リズムの研究により、グレリンが各食前に増加し、末梢から脳へ空腹情報を伝える液性因子であることを指摘した(J Clin Endocrinol Metab 2002)。【5】グレリンの脳内での摂食調節回路網を解析するために、視床下部外側野で産生される2つの摂食亢進ペプチドオレキシンとMCHとの解剖学的、機能的連関を検討した。グレリン神経線維はオレキシンニューロンに直接投射し、その電気活動を亢進した。グレリンによる摂食亢進作用は、オレキシン系の遮断により減少した。一方、MCH系の遮断はグレリン作用に影響しなかった。オレキシンノックアウトマウスでは、グレリンによる摂食亢進作用は野生型より有意に低かった。グレリンの摂食冗進は、オレキシンニューロンとの直接的な経路によっても生じることを明らかにした(Endocrinology 2003)。【6】G蛋白結合型オーファン受容体GPR66の内在性リガンドがニューロメジンUであることを示した。ニューロメジンUのエネルギー代謝冗進や褐色脂肪細胞における交感神経活動刺激作用ならびにバゾプレシンとオレキシンの分泌促進作用を明らかにした。ニューロメジンUのニューロンは、視床下部弓状核に存在し、CRHニューロンに投射してCRH系を介して摂食抑制やストレス反応に機能している(Endocrinology 2002)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fukae H, Kinoshita H, Fujimoto S, Kita T, Nakazato M, Eto T.: "Changes in urinary levels and renal expression of uroguanylin on low or high salt diets in rats"Nephron.. 92. 373-378 (2002)
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[Publications] Date Y, Nakazato M, Hashiguchi S, Dezaki K, Mondal MS, Hosoda H, Kojima M, Kangawa K, Arima T, Matsuo H, Yada T, Matsukura S.: "Ghrelin is present in pancreatic α-cells of humans and rats and stimulates insulin secretion"Diabetes. 51. 124-129 (2002)
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[Publications] Yoshihara F, Kojima M, Hosoda H, Nakazato M, Kangawa K.: "Ghrelin: a novel peptide for growth hormone release and feeding regulation"Curr Opin Clin Nutr Metab Car. 5. 391-395 (2002)
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[Publications] Date Y, Murakami N, Toshinai K, Matsukura S, Nijima A, Matsuo H, Kangawa K, Nakazato M.: "The role of the gastric afferent vagal nerve in ghrelin-induced feeding and growth hormone secretion"Gastroenterology. 123. 1120-1128 (2002)
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[Publications] Hayashida T, Nakahara K, Mondal MS, Date Y, Nakazato M, Kojima M, Kangawa K, Murakami N.: "Ghrelin in neonatal rats : distribution in stomach and its possible role"J Endocrinol. 173. 239-245 (2002)
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[Publications] Yamauchi T, Oike Y, Kamon J, Waki H, Komeda K, Tsuchida A, Date Y, Li MX, Miki H, Akanuma Y, Nagai R, Kimura S, Saheki T, Nakazato M, Naitoh T, Yamamura K, Kadowaki T.: "Increased insulin sensitivity despite lipodystrophy in Crebbp heterozygous mice"Nat Genet. 30. 221-226 (2002)
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[Publications] 中里雅光: "Annual Review 内分泌・代謝"金澤康徳・武谷雄二、開原久彦、山田信博. 294 (2002)