2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の炎症制御機構の解明及び新しい炎症マーカーの開発
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12470132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 正和 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80223105)
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Keywords | 一酸化窒素 / スーパーオキサイド / パーオキシナイトライト / 慢性閉塞性肺疾患 / 肺気腫 / 誘発痰 / ステロイド / キサンチンオキシデース |
Research Abstract |
活性窒素種(reactive nitrogen spesies、RNS)は、炎症性肺疾患患者の気道において産生され、組織障害や炎症性メディエーターの産生に関与すると考えられる。我々は昨年度の誘発痰や吸気ガス分析による検討で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の気道において誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現が健常人と比べ有意に増加しており、RNSのマーカーであるニトロチロシン(NT)の産生がCOPD患者において健常人や喘息患者に比べ有意に増大しており、その産生量は気道の閉塞程度(%FEV1)と有意に相関することを見出し報告した(.M.Ichinose et al. Increase in reactive nitrogen spesces production in chronic o bstructive pulmonary disease airways. Am J Respir Crit Care Med 2000 ; 162 : 701-706)。 昨年度の検討を踏まえ、今年度は、吸入ステロイドの投与によってCOPD患者におけるニトロチロシンの産生またはiNOSの発現が抑制されるか、また肺機能や気道過敏性に影響を及ぼすかについて検討した。 (今年度の方法) 12名の症状の安定しているCOPD患者において、呼気NO測定後にスパイログラムを施行し呼吸機能を評価した。次にドシメーター法を用いてヒスタミンに対する気道過敏性を測定後、高張食塩水による誘発痰を施行した。誘発痰の細胞標本を作成し抗iNOS抗体と抗NT抗体を用いて免疫染色を施行し、細胞分画と各細胞分画におけるiNOS及びNT陽性細胞数を計測した。その後becromethasone(800オg/day)を4週間吸入投与し、同様に検査を施行し検討した。 (今年度の結果)吸入ステロイドの投与によって吸入後の誘発痰中のNT陽性細胞とiNOS陽性細胞数が有意に減少し(p<0.01)、その減少程度は有意に相関した(p<0.01)。またNT陽性細胞数の減少程度及びiNOS陽性細胞数の減少程度と1秒量の改善程度(p<0.05及びp<0.01)及び気道過敏性の改善程度(p<0.01及びp<0.05)が有意に相関した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 戸蒔雅文, 一ノ瀬雅一 他: "Comparison of effects of anti-IL-3,IL-5 and GM-C SF treatments on eosinophilopoiesis and airway eosinophilia induced by allergen"Pulmonary Pharmacology & Therapeutics. (in press). (2002)
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[Publications] 小荒井晃, 一ノ瀬正和 他: "iNOS depletion completely diminishes reactive nitrogen species formation after allerqic response"European Respiratory Journal. (in press). (2002)
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[Publications] 杉浦久敏, 一ノ瀬正和 他: "Correlation between pulmonary function change and supression in reactive nitrogen species production in COPD following steroid treatment"Thorax. (in press). (2002)
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[Publications] 山縣俊介, 一ノ瀬正和: "呼気ガス分析による気道炎症の評価"医学の歩み. 198. 483-487 (2001)
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[Publications] 一ノ瀬正和: "COPD薬物治療の進歩"日本医師会雑誌. 126. M22-M24 (2001)
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[Publications] 杉浦久敏, 一ノ瀬正和: "CDPDと新治療薬"治療学. 35. 53-56 (2001)
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[Publications] 小荒井晃 他: "Histamine Research in the New Millennium"Endogenous histamine and allergic eosinophil infiltration into the airways. 6 (2002)