2001 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息の病態におけるロイコトリエンC4合成酵素遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
12470137
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
福田 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90088873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
武田 昭 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90155002)
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Keywords | 気管支喘息 / ロイコトリエン / ロイコトリエンC4合成酵素 / 好酸球 / リンパ球 / BCL6 |
Research Abstract |
1.ロイコトリエンC4(LTC4)合成酵素遺伝子操作マウスの作製 LTC4の喘息における役割を検討することに関連して、マウスLTC4合成酵素遺伝子を操作したマウスを用いてin vivoでのLTC4の役割を明かにすることが平成13年度の本研究の第1目的である。最近、マウスLTC4合成酵素遺伝子ノックアウトマウスが他の研究グループから報告された。そこで申請者らは、さらにLTC4の役割を詳しく検討するために平成13年度からLTC4合成酵素を強発現させたトランスジェニック(Tg)マウスの作成を開始した。いままでにchiken βactin promoterを利用してLTC4合成酵素のcDNAを組み込んだ発現ベクターをすでに作製している。現在、仮親マウスを利用して、このベクターを遺伝子導入したマウスの受精卵よりTgマウスを作製中で、genotypeをタイピングしている最中である。平成14年度は、このTgマウスを用いて既に申請者らが確立している手法を用いて気管支喘息モデルを作製し喘息の発症および重症化におけるLTC4の役割を生体内レベルで検討する。また、LTC4の関与が大きいと考えられているアスピリン誘発性モデルの確立を試みることによってアスピリン誘発性気管支喘息の発症メカニズムを解明する。 2.転写抑制因子BCL6のLTC4合成酵素機能に対する役割 申請者らは既にLTC4合成酵素の遺伝子上にBCL6の結合塩基配列を見出しており、BCL6はLTC4合成酵素遺伝子に対してその発現を制御している可能性を考えている。LTC4は主に好酸球から産生されることから、好酸球におけるLTC4合成酵素遺伝子に対するBCL6の機能の解析が本研究の第2の目的である。血球の中で、BCL6はリンパ球やマクロファージに発現が認められているが、好酸球では明らかでない。そこでマウスの正常好酸球の分離あるいは分化を試みたが十分な結果が得られず、申請者らは好酸球性細胞株について検討したところBCL6の発現を蛋白レベルで認めた。引き続き平成14年度は好酸球性細胞株を用いてLTC4合成酵素遺伝子の発現に対するBCL6の機能を解析する予定である。さらに、平成13年度には気管支喘息の病態におけるBCL6の機能を解析した。BCL6をリンパ球に強発現させたlck-BCL6-Tgマウスを用いて喘息モデルを作製し、喘息の発症について検討した。その結果、リンパ球のTh2型サイトカインの産生が抑制され、気道炎症および気道過敏性が抑制を認めた。以上よりBCL6はTh2型リンパ球のサイトカインの産生の抑制を介して喘息の発症を抑制的に制御する作用が示唆された。以上よりBCL6は気管支喘息の病態に対して予防的に関与する可能性が考えられ今後、BCL6の機能を好酸球およびリンパ球について分子レベルで解析する。
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