2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインシグナル伝達系の神経免疫疾患における意義:病態解析と治療応用
Project/Area Number |
12470139
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 宏 東北大学, 大学院・医学系研究所, 助教授 (20214207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (70280873)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究所, 教授 (30136428)
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
|
Keywords | ケモカイン / 多発性硬化症 / 重症筋無力症 / 神経免疫疾患 |
Research Abstract |
今年度はT細胞の機能解析を中心に研究を進めた。重症筋無力症(MG)におけるTh1/Th2バランスは胸腺摘出前のMG患者末梢リンパ球におけるケモカインシグナルがTh2優位にシフトしているのが術後除々に是正され,胸腺摘出手術が患者の免疫バランスを是正する働きがあることが示された.MG患者の経時的観察の結果,増悪時(クリーゼ)にはケモカインシグナルが再びTh2優位となり治療後に正常化する事も明らかになり,Th1型ケモカインCXCR3シグナルの強化がMG治療に有用である可能性が高くなった.MG胸腺の異常を明らかにするために胸腺T細胞でのケモカイン受容体発現を検討した結果,意外にもMGではTh1およびTh2型のケモカイン受容体を発現するsingle positive T細胞が増加していた.CCR2,CCR3,CXCR4などのケモカイン受容体発現もMG胸腺では著明に増加していた.一度抗原刺激を受けたCCR7陽性のセントラルメモリT細胞の著明な増加も明らかになった.これらよりMG胸腺のT細胞は免疫的に活性化した状態にあることが示された.CCR7陰性のエフェクタメモリT細胞へと分化する前,すなわち病初期での胸腺摘出術がより有効であるという臨床経験に合致するものである.これらの研究成果によって胸腺摘出後の免疫学的意義を明らかにした.多発性硬化症再発時の髄液ではセントラルメモリーT細胞が増加していた 本年度の研究により,神経免疫疾患ではCCR7陽性のセントラルメモリーT細胞が増加していることが明らかになり,CCR7阻害薬による治療への基礎研究の必要性が示された.14年度はケモカイン制御による治療を目指し,培養患者リンパ球によるケモカイン制御薬を投与して自己抗体産生とリンパ球活性化について検討する予定である.
|
-
[Publications] 小野寺宏: "ケモカイン"医学のあゆみ(別冊 21世紀の神経免疫学). 36-39 (2002)
-
[Publications] 小野寺宏: "重症筋無力症の分子免疫学"Molecular Medicine. 37. 122-130 (2001)
-
[Publications] Nagata T, Onodera H. 他: "Decreased expression of c-myc genes in thymuses from myasthenia gravis patients"J. Neuroimmunol. 115. 199-202 (2001)
-
[Publications] Misu T, Onodera H. 他: "Chemokine receptor expression on Tcells in blood and cerebrospinal fluid at relapse and remission of multiple Sclerosis"J. Neuroimmunal. 114. 207-212 (2001)
-
[Publications] 小野寺 宏: "多発性硬化症 EBM"臨床医. 27. 1580-1583 (2001)
-
[Publications] 小野寺 宏: "重症筋無力症におけるケモカイン"Neuroimmunology. 9. 229-232 (2001)