2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470149
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 透雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30311624)
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Keywords | LIF / 心筋梗塞 / VEGF / アポトーシス / 血管新生 / 骨髄細胞 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
Interleukin-6ファミリーに属するサイトカインであるleukemia inhibitory factor (LIF)の心臓に対する作用をマウスの心筋梗塞モデルを用いて検討した。心筋梗塞作成後、血液中のLIF濃度は一過性に増加した。次に心筋梗塞後のマウスの下肢にLIFのプラスミドを筋肉内注射したところ、2日後より血液中のLIF濃度は増加し、その後4週間後まで持続した。心筋梗塞を作成してから2週間後に心機能を心エコーにて計測し、と殺後、心臓を免疫組織染色にて解析した。LIEプラスミド注射群(LIF群)ではコンートロール群に比べ、心筋梗塞後の心機能の低下や心臓リモデリングは軽減していた。また心筋梗塞艘巣の範囲は縮小しており、心室壁の菲薄化も軽減していた。病理の結果、LIF群の梗塞境界領域における線維化は著明に減少していた。梗塞境界領域での心筋細胞のアポトーシス数もコントロール群に比べLIF群で減少していた。LIF群ではVEGFの発現の亢進と血管内皮細胞の増加が認められたことより、LIFによる血管新生が心筋細胞のアポトーシスを減少させている可能性が示唆された。次に心筋細胞の増殖・分化に対するLIFの効果を調べた。増殖している細胞の核で発現するKi-67蛋白の抗体で免疫染色をおこなったところ、LIF群では梗塞境界領域でKi-67陽性の心筋細胞が認められた。骨髄細胞の動員・分化を調べるために、GFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を野生型マウスに移植し心筋梗塞を作成して解析をおこなった。LIF群ではコントロール群に比べ2週間後の梗塞境界領域におけるGFP陽性細胞数が増加していた。さらにこのGFP陽性細胞が心筋細胞や血管内皮細胞であることを確認した。これらの結果から、LIFが血管新生により心筋細胞数の減少を抑制するだけでなく、心筋細胞の分化を誘導することにより心筋梗塞後の心機能低下や心臓リモデリングを改善することが示唆された。また今回の研究により、ウイルスベクターを使わなくとも、プラスミドの筋肉内注射のみで有効な治療効果が得られることも明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Toko H: "Csx/Nkx2-5 is required for homeostasis and survival of cardiac myocytes in the adult heart"J Biol Chem. 277. 24735-24743 (2002)
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[Publications] Shirai M: "The polycomb-group Rae28 sustains Nkx2.5/Csx expression and is essential for cardiac morphogenesis"J Clin Invest. 110. 177-184 (2002)
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[Publications] Sato M: "Detection of experimental autoimmune myocarditis in rats by 111 in monoclonal antibody"Circulation. 106. 1397-1402 (2002)
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[Publications] Monzen M: "Dual effects of the homebox transcription factorCsx/Nkx2-5 on cardiomyocytes"Biochem Biophys Res Commun. 298. 493-500 (2002)
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[Publications] Minamino T: "Role of telomore in endothelial dysfunction in atherosclerosis"Curr Opin Lipidol. 13. 537-543 (2002)
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[Publications] Minamino T: "Peripheral-blood or bone-marrow mononuclear cells for therapeutic angiogenesis?"The Lancet. 360. 2083-2084 (2002)
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[Publications] 小室一成: "循環器診察二頁の秘訣"心肥大の有無に要注意. 2 (2002)