2002 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン、アンジオテンシン受容体のクロストーク機構と血管病変における意義
Project/Area Number |
12470156
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
堀内 正嗣 愛媛大学, 医学部, 教授 (40150338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 将 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00184854)
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Keywords | アンジオテンシン / 受容体 / 血管リモデリング / サイトカイン / 転写調節因子 / 遺伝子改変マウス / 血管炎症 |
Research Abstract |
アンジオテンシンIIの作用は、主として、AT1受容体を介するものと理解されてきたが、AT2受容体が、血管障害、心筋梗塞後の心血管リモデリング等に、特異的に発現する。AT1a受容体欠損マウス、AT2受容体欠損マウス、野生型マウス大腿動脈にポリエチレンチューブをカフとして巻き付けることにより内膜肥厚が得られる血管傷害モデルを作成し、血管傷害に伴いAT1受容体とともに野生型マウスではAT2受容体が特異的に上昇しているおり、AT2受容体欠損マウスでは野生型マウスに比べ、血管平滑筋におけるDNA合成能の低下、アポトーシス低下、内膜肥厚の増強を観察した。この血管傷害モデルでは、ケモカインMCP-1,TNF-α,IL-6,IL-1βなどの炎症性サイトカインが産生され、傷害血管への白血球、マクロファージの浸潤が認められるが、これら炎症性変化は、AT2受容体遺伝子欠損マウスで亢進しており、AT2受容体は抗炎症作用を有する事が示された。DCAにより得られた、ヒト冠動脈硬化病変では、AT1受容体は主として、血管平滑筋細胞に発現しており、一方、AT2受容体は血管平滑筋細胞の他、線維芽細胞、マクロファージにも発現が認められ、ヒト血管病変形成にもAT2受容体が重要な役割を担っていることが示唆された。次に、R3T3細胞、培養血管平滑筋細胞を用いて、IRF-1の産生に関与する、サイトカインのひとつであるIFN-γが、AT2受容体発現増加に関与していることを見いだした。そこで、一連の炎症反応が引き金となり、IRF-1が産生され、AT2受容体が、血管傷害において、高発現するという仮説を証明するため、IRF-1欠損マウスを用いて検討したところ、IRF-1欠損マウスでは、傷害血管におけるAT2受容体の発現が低下しており、新生内膜形成、血管平滑筋の増殖の抑制、血管平滑筋を中心としたアポトーシスが低下していた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Wu, L., Iwai, M., Nakagami, H., Chen, R., Suzuki, J., Akishita, M., de Gasparo, M., Horiuchi, M.: "Effect of AT1 receptor blockade on cardiac remodeling in AT2 receptor mull mice"Arteriosclero Thromb Vasc Biol. 22. 49-54 (2002)
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[Publications] Suzuki, J., Iwai, M., Nakagami, H., Wu, L., Chen, R., Sugaya, T., Hamada, M., Hiwada, K., Horiuchi, M.: "Role of angiotensin II-regulated apoptosis via distinct AT1 and AT2 receptors in neointimal formation"Circulation. 106. 847-853 (2002)