2002 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症家系の遺伝子解析:脳内情報伝達系遺伝子群の解析
Project/Area Number |
12470170
|
Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
桃井 真里子 自治医科大学, 医学部, 教授 (90166348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 清隆 自治医科大学, 医学部, 助手 (30285796)
山形 崇倫 自治医科大学, 医学部, 講師 (00239857)
|
Keywords | 自閉症 / MBD1 / WNT2 / FOXP2 / セクレチン / セクレチン受容体 |
Research Abstract |
自閉症の原因遺伝子、分子病態の解明を最終目的として、自閉症罹患者に見られる退伝子変異を同定した。 研究方法:機能的候補遺伝子群の経にスクリーニングと同時に、自閉症遺伝子座位の一つである染色体7q31領域の遺伝子群の変異検索を行った。 自閉症罹患者は、全て小児であり、その遣伝子解析に関しては、親への説明後の同意を口頭、書面で得て採血し、リンパ芽球を作成し、DNAを使用した。本研究は、自治医科大学倫理委員会の審議・承認を得た。細胞、DNA試料は、連結可能匿名化で管理された。遺伝子の全exon、intrgn境界をPCR増幅し、DHPLCでheteroduplexの有無を検出し、heteroduplexDNA鎖に関しては、直接塩基配列決定法で変異を同定した。 結果:候補遺伝子群として、脳内発現低分子量D蛋白、低分子量G蛋白制御蛋白、メチル化部位結合蛋白、脳内発現転写因子(FOXP2など)、serotonin関連蛋白、セクレチン関連蛋白、G蛋白結合型受容体を有するリガンド、受容体、等の機能性候補遺伝子群を解析した。その他、7q31領域の遺伝子群を網羅的に解析した。 セクレチン治療の有効性が問題に合っていた時点で、セクレチン関連情報伝達系の遺伝子解析を目的として、ヒトセクレチン遺伝子をクローニングした。セクレチン治療を受けた罹患者の内、言語機能に臨床的効果を認めた者と、効果のない例について、セクレチン、セクレチン受容体の遣伝子多型を解析し、両者で比較検討した。 結果:MBD1にミスセンス変異を患者、および、その母親に検出し、健常対象者試料には検出されなかった。WNT2に、罹患者特異的なミスセンス変異を同定した。FOXP2、その他には、罹患者特異的変異は同定されなかった。 セクレチン有効者と無効者でセクレチン、受容体遺伝子の多型に有意な差はなかった。 結論・考察:MBD1は、メチル化部位結蛋白の一つであり、Rett障害の原因遺伝子と同一ファミリーに属する。Rettの発達障害像は、自閉症であり、それと類似の機能を有するMBD1にミスセンス変異が同定されたことは、類似分子機構が、少なくとも自閉症の一部には、基本的な病態であることを、示唆している。FOXP2には、有意な変異は検出されなかった。読字障害の原因ではあるが、自閉症の主要な原因遺伝子ではないと推定された。WNT2の変異は、7q31領域でもあり、脳内で、とくに、発達期脳で発現があることから、脳形成と発達障害の分子機構が関連することを、示唆している。セクレチン治療反応性でセクレチン、受容体の遣伝子に多型の差がなかったことは、セクレチン効果は、セクレチン類似受容体を介して細胞内に伝達されていると推定された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Li H, Yamagata T, Mori M, Momoi MY.: "Association of autism in two patients with hereditary multiple exostosis caused by novel deletionmutation of EXT1"Journal of Human genetics. 47. 262-265 (2002)
-
[Publications] yamagata T, Aradhya S, Mori M, Inoue K, Momoi MY, Nelson DL.: "The human secretin gene structure, location in 11p15.5 and sequence variations in patients with autism"Genomics. 80. 185-189 (2002)
-
[Publications] Li H, Yamagata T, Mori M, Momoi MY: "A missense mutation in MBD1 gene in a patients with autism and his family"American Journal of Human Genetics. (in press). (2003)
-
[Publications] Kouroku Y, Fujita E, JImbo A, Kikuchi T, Yamagata T, Momoi MY: "Polyglutamine aggregates stimulate ER stress signals and capase-12 activation"Human Molecular Genetics. 11. 1505-1515 (2002)