2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄性筋萎縮症の発症機序の解明と治療開発へ向けた臨床的、基礎的研究
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12470173
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90138834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 恵里 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40281406)
中野 和俊 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00172362)
池谷 紀代子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70151313)
伊藤 万由里 東京女子医科大学, 医学部, 助手
伊藤 康 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10307530)
前田 由美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40287339)
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Keywords | 脊髄性筋萎縮症 / 病理学的解析 / アポトーシス / Bcl-2 / Hybrid gene / mRNA / 塩基配列解析 / 遺伝子変換 |
Research Abstract |
今年度は脊髄性筋萎縮症(SMA)I, II型における脊髄ニューロン死の病理学的検討およびSMAにおける遺伝子と臨床との関係の分析を行なった。SMAの運動ニューロンの変性と脱落の開始時期および発病機構については、未だ解明されていない。アポトーシス抑制因子Bcl-2がSMAの原因遺伝子産物SMNに結合することにより、Bcl-2の抗アポトーシス作用を飛躍的に上昇させるという報告(Iwahashi,1997)が注目されている。現在我々は神経系発生過程における自然発生的ニューロン死,つまりアポトーシスの過程が病態に反映されている仮説を検討している。病理解剖されたSMA I型11例(胎児〜小児期)、II型1例(思春期)および年齢を一致させた対照の脊髄を観察した。ニューロンにおける形態学的変化をHE染色にて観察し、ストレス関連蛋白(ユビキチンなど)、アポトーシス関連物質(caspase3, Bcl・2, Bax, NF-κbなど)およびSMN蛋白の局在を免疫組織学的に解析した。その結果、自然発生的ニューロン死がSMAの病態に関与している可能性が一部示唆されたが、現在解析中である。遺伝子-臨床関係解析は29例を対象とした。Hybrid gene が軽症のII型及びIII型の5例においてのみ認められたことより、SMNtからSMNcへの遺伝子変換は症状の軽症化と関係する可能性を考えた。また、塩基配列解析では4例でSMNtの配列を認め、mRNAレベルでの遺伝子変換の可能性も示唆された。SMNcのコピー数は、軽症型で多い傾向があった。
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[Publications] 斎藤 加代子: "球脊髄性筋萎縮症"日本臨牀 領域別症候群シリーズNo.34先天異常症候群辞典. 下巻. 223-224 (2001)
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[Publications] 斎藤 加代子: "脊髄性筋萎縮症"日本臨牀 領域別症候群シリーズNo.34先天異常症候群辞典. 下巻. 672-674 (2001)
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[Publications] 斎藤加代子, 伊藤万由里: "脊髄性筋萎縮症の臨床と分子遺伝学"東京女子医科大学雑誌. 70. E2-E9 (2000)
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[Publications] 斎藤加代子, 宍倉啓子: "脊髄性筋萎縮症[I型、II型]"日本臨牀 領域別症候群シリーズNo.27神経症候群-その他の神経疾患を含めて-. 364-369 (1999)