2001 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体血行動態調節機序、特にP450依存性エイコサノイドの役割
Project/Area Number |
12470208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 貞嘉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40271613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 秀二 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (60323010)
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Keywords | 緻密斑 / 輸入細動脈 / 尿細管糸球体フィードバック / 一酸化窒素 / 微小灌流 / 傍糸球体装置 |
Research Abstract |
緻密斑(MD)においては神経一酸化窒素合成酵素(nNOS)が豊富に発現しており、産生された一酸化窒素(NO)は尿細管糸球体フィードバック(TGF)による輸入細動脈(Af-Art)の収縮反応を減弱させる。しかし、マイクパンチャーの成績ではnNOS欠損(-/-)マウスと野性型(+/+)マウスのTGFに差はみられていない。さらに、食塩摂取量が増加するとMDにおけるnNOSの発現は低下するにも関わらず、NOS抑制はTGFを増強し、逆に、食塩摂取が低下するとMDのNOS発現は亢進するのも関わらずNOS抑制はTGFに影響を与えない。我々は、MD nNOSのTGFに果たす役割を直接検討するために、傍糸球体装置(JGA)を単離し、Af-ArtとMDを同時灌流してnNOS阻害薬7-Nitroindozale(7-NI)の効果を検討した。仮説は以下である。1)TGF反応は食塩摂取量と逆相関する。2)減塩食ではMDで産生されるNOによりAf-Artのトーヌスが持続的にコントロールされている。MD灌流液のNaCl濃度を上げたときのAf-Artの収縮反応は+/+と-/-間で差がなかった、MD灌流液に7-NIを加えると+/+ではTGF反応が増強したのに対し、-/-では変化がなかった。低、正又は高塩食を与えられたラビットのどれから単離されたJGAでも7-NIは皆同程度にTGF反応を増強した。しかし、MDを低NaCl溶液で灌流した状態で7-NIを加えると、低塩食を与えられたラビットから単離されたJGAでのみAf-Artの収縮がみられた。 (結論) 1)MD nNOSの慢性的変化では何らかの代償機構によりTGFは一定に保たれる。2)nNOSはTGFを急性的に調節する。3)低塩食ではAf-Artのbasal tone(低NaCl MD液)がMDで産生されたNOにより調節されている。これは、アンジオテンシンIIなどの血管収縮物質に拮抗して腎血流を維持している機序のひとつと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ren YL, Garvin JL, Ito S, et al.: "Role of neuronal nitric oxide synthase in the macula densa"Kidney Int.. 60(5). 1676-1683 (2001)
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[Publications] Arima S, Ito S.: "New insights into actions of the enin-angiotensin system in the kidney ; concentrating on the Ang II receptors and the newly described Ang-(1-7) and its receptor"Semin Nephrol. 21(6). 535-543 (2001)
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[Publications] Kohagura K, Arima S, Ito S, et al.: "Involvement of cytochrome P450 metabolites in the vascular action of angiotensin II on the afferent arterioles"Hypertens Res.. 24(5). 551-557 (2001)