2000 Fiscal Year Annual Research Report
塩分・血圧によるレニン遺伝子転写調節機構のin vivo解析
Project/Area Number |
12470212
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松阪 泰二 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (50317749)
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Keywords | メサンジウム細胞 / キメラマウス / 血圧 / 細胞増殖 / レニン / AT1受容体 / アンジオテンシン / 糸球体 |
Research Abstract |
本研究では、キメラマウスの腎臓での解析を伴うが、腎臓は心臓や血管に比べてはるかに組織構築の複雑な臓器で、キメラマウスでの解析が困難であると予想され、この点が、全プロジェクトの成否を決定する重要なポイントである。そこで、キメラマウスの腎臓の解析の方法論を確立することを1つの目的に、全身にlacZを発現するROSA26(ROSA)トランスジェニックマウスと1型アンジオテンシン(A)II受容体(AT1)欠損マウスから由来する細胞から構成されるキメラマウス(Agtr1a-/-【tautomer】ROSA)を用いた次のような実験を行った。 正常マウスにAIIを投与すると血圧が上昇し、メサンジウム細胞が増殖するが、この増殖はAIIのメサンジウム細胞への直接作用に起因するものか、血圧など全身の環境を反映するものか不明であった。Agtr1a-/-【tautomer】ROSAにAIIを持続注入すると、AT1欠損細胞のみから構成される糸球体も、ROSA細胞のみから構成される糸球体も、同一個体内では同程度の増殖をしめし、その程度は血圧と相関した。したがって、糸球体細胞の増殖はAIIの直接刺激ではなく、体血圧と密接に関係する非局所的要因(例えば、糸球体内圧)が決定しているものと考えられた。 上記の実験は、体血圧の調節機構を研究する本プロジェクトの重要性を強調するものであるが、同時にROSAを用いたキメラマウスの腎臓において形態のみから細胞の種類を同定が困難であることを経験させるものでもあった。またROSAマウスの中には、繁殖が低下しているものがあり、また胞胚採取用のROSAマウスコロニーを維持する労力も甚大である。これらの問題を考慮すれば、平滑筋細胞特異的プロモーターで発現されるマーカー遺伝子をES細胞に導入することにより、ES細胞由来の細胞を同定した方が、より効率的であると思われる。現在、この実験方法のマイナーな変更に基づきベクターを構築中である。
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[Publications] 松阪泰二 他: "Dual renin gene targeting by Cre-mediated inter-chromosomal recombination."Genomics. 64. 127-131 (2000)
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[Publications] 松阪泰二 他: "Angiotensin II as a player in fibrosis."Nephrology, Dialysis, Transplantation.. 15(Suppl6). 64-65 (2000)