2000 Fiscal Year Annual Research Report
新生児低酸素性虚血性脳障害に対する脳低温療法に関する研究
Project/Area Number |
12470215
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 肇 神戸大学, 医学部, 教授 (40030978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常石 秀市 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271040)
米谷 昌彦 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (60221678)
高田 哲 神戸大学, 医学部・保健学科, 教授 (10216658)
横山 直樹 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20314487)
|
Keywords | 低酸素性虚血性脳症 / 脳低温療法 / 新生児 / アポトーシス / caspase-3 / BAF |
Research Abstract |
低酸素虚血(HI)脳障害ラットモデルを用いて、低体温処置とapoptosis阻害剤の脳障害防護効果を検討した。低体温負荷は直腸温度を30℃に維持した。Apoptosis阻害剤は、pan-caspase inhibitorであるBoc-aspartyl-(OMe)-fluoromethyl-ketone(BAF)を100nmol腹腔内注射した。Caspase-3活性は、1時間のHI負荷後、16時間の時点で3.0倍にまで上昇し、40時間後には基礎値に復した。この負荷後16時間におけるcaspase-3活性値上昇は、低体温群では1.7倍に抑制された。BAF群では1.4倍、さらに低体温とBAFの両者では0.96倍と完全にcaspase-3活性化が抑制された。 負荷後7日目の海馬神経細胞脱落率では、HI負荷で37%、低体温群で21%、BAF群で11%、低体温とBAFの両者では5%にまで抑制された。海馬組織を用いたDNA ladderの検出実験では、HI負荷後3〜5日目に明瞭なbandを確認した。このDNA ladder bandの濃度は、低体温、BAF投与にて減少した。 さらに、活性型caspase-3にて分断されて活性化され、apoptosisに関与するpoly-(ADPribose)-polymerase(PARP)の85kDa fragmentに対するウエスタンブロットにて、低体温とBAFのanti-apoptotic効果を確認できた。また、HI負荷後、0時間と12時間の2回BAFを投与することで、anti-apoptotic効果がより強く発現される結果を得た。これらのことから、HI脳障害後の治療戦略において、低体温療法とBAFを用いることでtherapeutic windowを作製できる可能性が示唆された。
|