2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内膜肥厚巣における細胞増殖制御シグナルの研究―臨床的血管障害に近似した再障害モデルによる検討
Project/Area Number |
12470236
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
小山 博之 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10241994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 秀巳 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80272558)
宮田 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70190791)
重松 宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40134556)
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部, 教授
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Keywords | ステント / 再障害 / ウサギ / TRAF / 炎症 / 内膜肥厚 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
昨年度の研究で開発した血管内ステント留置モデルによる検討では、内膜細胞の細胞分裂と炎症機転との関連性を示唆する所見が得られた。従って、本年度は炎症を司るシグナル伝達において重要な役割を果たすと考えられているTRAFと内膜細胞の増殖メカニズムとの関連について検討した。ステント留置モデルでの実験の前段階としてラビット頚動脈を用いたバルーン障害モデルで実験を施行した。まず頚動脈内腔にTRAF-2,5,6のdominant negative (DN)を組み込んだ発現プラスミドベクターを充填しインキュベーションの後、既に確立したin vivo electroporation法を用いて動脈壁に遺伝子導入した。その2日後、TRAFのDNが細胞内で作られていることを確認の後、2F Fogartyカテーテルで障害を加えた。障害後2日目に標本を採取してBrdU取り込み率を用いて中膜平滑筋細胞の増殖を検索した所、TRAF-DN導入群では対照群と比べ有意に取り込みが減少していることが明らかになった。また障害後14日後の組織切片上での内膜層の面積を測定したところ、TRAFのDN導入群での有意な抑制が認められた。次の実験として、まず頚動脈にバルーン障害を加えて1週間経過させて予め内膜肥厚を誘導した後にTRAF-DNを遺伝子導入した。同様に2日後に標本を採取して内膜細胞の増殖をBrdUで調べたところ、やはりTRAF-DN導入群でのBrdU取り込み率の低下が観察できた。以上の所見よりTRAFを含む炎症に関わるシグナル伝達経路は、動脈内膜及び中膜細胞の細胞分裂機転を制御しており、内膜肥厚巣形成に深く関わっている可能性が示唆された。現在、ステント留置後の再狭窄病変の形成におけるTRAFシグナルの役割を明らかにすべく、開発したステント留置モデルにTRAF-DNを遺伝子導入して再狭窄巣での細胞分裂の変化を検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Inoue S, Koyama H, Shigematsu H, Miyata T: "Cell replication induces in-stent lesion growth in rabbit carotid artery"Atherosclerosis. 162. 345-353 (2002)
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[Publications] Inoue S, Koyama H, Shigematsu H, Miyata T: "Pathogenetic heterogeneity of in-stent lesion formation in human peripheral arterial disease"J. Vasc Surg. 35. 672-678 (2002)
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[Publications] Ninomiya M, Koyama H, Miyata T, Shigematsu H: "Ex vivo gene transfer of basic fibroblast growth factor improves cardiac function and blood flow in a swine chronic myocardial ischemia model"Gene Therapy. (in press). (2003)
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[Publications] 小山博之, 重松宏: "外膜障害による動脈壁の反応に関する実験的検討"脈管学. 42. 349-356 (2002)
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[Publications] 小山博之: "血管新生療法の現状と将来展望"Progress in Medicine. 22(12). 3070-3076 (2002)
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[Publications] 小山博之, 重松宏: "血管外科における遺伝子治療の現状と将来展望"血管医学. 4(1). 73-79 (2003)