2000 Fiscal Year Annual Research Report
大腸腫瘍の発育進展におけるサイクロオキシゲナーゼ2の役割と阻害剤の作用機序の検討
Project/Area Number |
12470253
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 健一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10171167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 雅之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60301165)
吉永 圭吾 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80240745)
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Keywords | サイクロオキシゲナーゼ / COX-2 / 大腸癌 / 大腸腺腫 / NSAID |
Research Abstract |
大腸発癌におけるサイクロオキシゲナーゼ(COX)-2の役割を明らかにするために,臨床材料を用いてCOX-2発現を検討すると共に,COX-2選択的抑制剤の大腸癌に対する効果を検討しているが,今年度は以下のような結果を得ている. 1.孤発性大腸腺腫におけるCOX-2発現 内視鏡的ポリペクトミーにより得られた58個の腺腫および外科的切除により得られた5個の腺腫,計63個を対象とした.手術または内視鏡検査時に得られた47検体の正常大腸粘膜を対照とした.ポリープからmRNAを抽出し,RT-PCR法によりCOX-2発現を検討した.ポリープの最大径により,small:φ≦6mm,medium:6mm<φ≦12mm,large:φ<12mmの3群に分けた.COX-1に対するCOX-2の比をCOX-2 indexとすると,正常大腸粘膜0.3±0.1,腺腫1.7±0.2で,COX-2 indexは有意に腺腫で増加していた.大きさ別のCOX-2 indexは,small群1.1±0.1,medium群1.7±0.3,large:2.5±0.5で,発現は有意に大きさに関連していたが,存在部位,異型度,肉眼型とは関係していなかった. 2.実験動物を用いたCOX-2選択的阻害剤の効果 ヒト大腸癌細胞KM12SMをヌードマウスに皮下移植後,対照,スリンダック30mg/kg,COX-2阻害剤10mg/kg,30mg/kg投与の4群に分け,4週間の処置後に犠死させ腫瘍重量を測定した.スリンダック投与群の重量は34±5.6mgで対照群の43±7.0mgに比べ腫瘍生育を抑制する傾向がみられた(p=0.12).一方,COX-2阻害剤(30mg/kg)投与群の腫瘍重量は31±5.1mgで,対照群に比べ有意に低かった(p<0.05).COX-2選択的阻害剤群は用量依存性に腫瘍の生育を抑制した.
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