2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロン存在下の細胞内シグナル伝達システムと肝虚血耐性に関する研究-次世代の肝プレコンディショニング法に向けて-
Project/Area Number |
12470258
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 講師 (70281730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252018)
|
Keywords | 虚血再灌流障害 / プレコンディショニング / 熱ショック蛋白 / NF-κB / AP-1 |
Research Abstract |
<熱ショック前処置の作用部位としてのNF-κB・I-κBシステムの研究> 熱ショック前処置が、肝虚血再灌流後の転写因子NF-κBの活性化に与える影響についてWistar ratを用いた肝虚血モデルにおいて検討した。 <結果> 1)熱ショック前処置により、肝虚血再灌流後のNF-κBの活性化は著明に抑制された。(Gel shift法、Western blot法) 2)NF-κBの内因性阻害蛋白であるI-κBの虚血再灌流中の動態をWestern blot法にて検討した。上記NF-κBの活性化の抑制は、I-κBの発現の増強及び虚血再灌流中の分解に対する安定性の増加によってもたらされることが示唆された。 3)NF-κBによりその転写が制御されている炎症性メディエーターTNF-α、iNOSなどの虚血再灌流中の発現をPCR法にて検討した。熱ショック前処置によりこれらのメディエーターの転写は著明に抑制されており、熱ショック前処置による保護効果のメカニズムの重要な一翼を担っていると考えられた。 今後は熱ショック前処置によるI-κBの発現の増強のメカニズムをNorthern blot法にて検討する。更に虚血再灌流中のI-κB分解に対する安定性の増加のメカニズムを免疫沈降(特に熱ショック前処置により発現される熱ショック蛋白とのinteractionを検討)及びI-κBキナーゼアッセイにて検討する予定である。 <熱ショック前処置に特異的なAP-1サブユニットの検索及びそのMAPKカスケードの解析> 熱ショック前処置が、肝虚血再灌流後の転写因子AP-1の活性化に与える影響について検討した。実験モデルは上記と同様である。 <結果> 1)NF-κBと異なり、熱ショック前処置により再灌流後のAP-1の活性化は促進された。(Gel shift法) 2)AP-1の活性化にはサブユニットc-Jun、c-Fosが関与していた。これは熱ショック前処置を加えても同様であった。(スーパーシフト法) 3)とりわけc-Junのリン酸化がAP-1の活性化に強く影響を与えていることが示唆された。(Western blot法) 今後は熱ショック前処置がc-Junのリン酸化に与える影響について、Western blot法及びc-Junリン酸化酵素JNKのキナーゼアッセイにて検討する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 山本雄造: "胆道癌に対するHPDの工夫と成績 II.HPDの術式の工夫 2.術後合併症予防からみたHPDの工夫"外科. 62. 1118-1122 (2000)
-
[Publications] 飯室勇二: "術前3次元画像診断が術式決定に有用であった固有肝動脈瘤の1例"日本消化器外科学会雑誌. 33(5). 678-682 (2000)
-
[Publications] 山本雄造: "肝細胞癌 b.外科手術と集学的治療"消化器疾患最新の治療2001-2002. 344-347 (2001)
-
[Publications] Yamamoto Y: "In situ pedicle resection in left trisegmentectomy of the liver combined with reconstruction of the right hepatic vein to an inferior vena caval segment transpositione from the infrahepatic portion."J Am Coll Surg.. 192(1). 137-141 (2001)