2000 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌浸潤部におけるケモカイン・プロフィールについての基礎的研究
Project/Area Number |
12470261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粟根 雅章 京都大学, 医学研究科, 助手 (80303832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 陸行 財団法人田附興風会, 医学研究所, 研究員 (00322652)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
高林 有道 財団法人田附興風会, 医学研究所, 研究主査 (00226911)
佐藤 誠二 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303834)
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Keywords | 消化器癌 / ケモカイン / 浸潤、転移 / 腫瘍間質 |
Research Abstract |
最近、乳癌において、腫瘍細胞のCXCR4やCCR7の発現とそのligandであるCXCL12/SDF-1alfaやCCL21/6Ckineの多臓器における発現度が、乳癌の転移先臓器を決定するという報告がなされている(Nature.2001Mar1;410(6824):50-6)。我々のグループの端らは、パイエル板の発生時期にIL-7Ra陽性細胞及びCD11c陽性DCはCCR7を発現し、このIL-7Ra陽性細胞がDCやNKへの分化能力を持つprecursorであることを明らかにした(J Immunol.2001Mar15;166(6):3702-9)。この知見は、免疫細胞のhomingを理解する上で重要のみならず、消化器癌のリンパ節転移においてケモカインが重要な役割を果たしている可能性を示唆するものである。 また、腫瘍細胞のα4β7integrin発現は従来より癌の転移、特に癌細胞の着床に関与することが知られているが、このα4β7integrinのligandであるMAdCAM-1の癌における関与は知られていなかった。我々は外科切除標本(胃癌20症例、大腸癌20症例)を用いて、癌部におけるMAdCAM-1の発現検討を行った。大腸癌症例においてMAdCAM-1の発現は見られず、悪性度が高い未分化胃癌の病巣の血管に高発現していた。MAdCAM-1のinducerであるLymphotoxin-αが血行性転移を促進することがin vivoで示され(J Immunol.1999Sep1;163(5):2809-2815)たことからも、MAdCAM-1が癌の転移に関与する可能性は高いと考えあれる。 今後、ケモカイン・接着分子の観点から癌の進展・転移のメカニズムを消化器癌の臨床標本を中心に検討してゆく方針である。
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