2001 Fiscal Year Annual Research Report
X線無所見扁平上皮癌の自然史および、これを決定する染色体・遺伝子ファミリー解析
Project/Area Number |
12470268
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 雅美 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (30250830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (90323104)
松村 輔二 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (80281997)
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10195901)
星川 康 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (90333814)
遠藤 千顕 東北大学, 医学部・付属病院, 助手 (80333813)
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Keywords | 肺癌 / 自然史 / 遺伝子変化 / p53遺伝子 / over diagnosis bias |
Research Abstract |
本研究の初年度に、種々の理由により、治療不可能あるいは治療を拒否した胸部X線無所見の肺扁平上皮癌例の自然史を調査した。全例、喀痰細胞診により、癌の存在が確認された症例で、その後の癌の進展を把握した。その結果、症例によっては、1年以内に癌腫による異常陰影を呈したものも見られたが、異常陰影を呈した症例の多くは4-5年以内に胸部X線写真で腫瘤を形成した。一方、約1/3の症例で臨床的な自覚症状がなく、かつ、異常陰影も呈さない症例がみられた。さらに、死亡した症例でも、最後まで、肺癌の存在が臨床的に問題とならなかった症例の存在した。また、最長で8年間、喀痰中より癌細胞が出現しながらも、臨床症状を示さない症例が存在した。これらのことはover diagnosis biasの関与を示唆する結果となった。 これらの特異な臨床経過を示す群と通常の肺癌例とを比較し、その予後や臨床経過を決定する遺伝子・染色体変化を検索することが本研究の目的であり、初年度の計画として、p53の変化について、検討した。 これら胸部X線無所見肺扁平上皮癌例において、p53のエクソン5-8の遺伝子変異について、トータルシークエンスで確認し、新たな知見を得た。すなわち、通常の進行扁平上皮癌例では、過去の同様の報告にミスセンス変異が主に見られた。一方、胸部X線無所見肺扁平上皮癌例では、これらミスセンス変異が約1/3の症例に見られたが、これとは別に、タンパクのトランケーションを生じるタイプの変異が約1/3の症例で確認された。このトランケーションタイプの変異においては、異常タンパクがダイマーを形成できないため、もう、一方の正常のアレル由来のタンパクのみによる正常なダイマーが形成され、結果的にp53遺伝子に異常がありながらも、タンパク質レベルでは、正常の機能を果たしていると推定された。このような変化が、臨床経過の緩序な胸部X線無所見肺扁平上皮癌に影響している可能性が考えられた。 さらに、2年目にあたる平成13年度には、新たなbio-maekerと思われるhnRNPB1に対する抗体やMDM-2,WAF1 P D-ECGF,VEGF,Bc12,Baxなどに対する抗体を用いて、多角的にこれらの症例における遺伝子・タンパクの発現について検討した。その結果、hnRNPB1は前癌病変の段階から発現していることが確認された。しかし、その染色様式からは前癌病変の段階では、まだclonal gtowthを積極的に示唆する所見は得られなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato M, Honda M, Sakurada A, Endo C, Okade Y, Matsumura Y. Kondo T: "The efficacy of cell-collection devices with cytologic brush depends on the diameter of bristles not on the diameter of the brush"J Broncholo. (in press). (2002)
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[Publications] Saiji Y, Sato G, Usui K, Sagawa M, Kondo T, Minami Y, Nukiwa T: "Expression of nuclear protein p120 predicts poor prognosis in patients with stage l lung adenocarcinoma"Annals Oncolo. 12. 1121-1125 (2001)
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[Publications] Sagawa M, Tsubono Y, Saito Y, Sato M, Tsuji I, Tanita T, Kondo T, Fujimura S: "A case-contro; study for ev aluating the efficacy of mass screening program for lung cancer in Miy ago prefecture, Japan"Cancer. 92. 588-594 (2001)
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[Publications] Sagawa M, Koike T, Sato M, Oda M, Kondo T, Kato H, Tsuchiya R: "Segmentectomy for roentgenographically occult bronchogenic squamous cell carcinoma"Ann Thorac Surg. 71. 1100-1104 (2001)
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[Publications] Tanita T, Chida M. Hoshikawa Y, Handa M, Sato M, Matsumura Y, Kondo T, Fujimura S: "Experience with fatal interstitial pneumonis after operation for ling cancer"J Cardiov asc Surg. 42. 125-129 (2001)
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[Publications] Wu S, Sagawa M, Suzuki S, Kumagai M, Honda Y, Sato M, Kondo T: "Pulmonary fibrosis with intractable pneumothorax : New pulmonaru menifestation of relapsing poly sing poly chondritis"Tohoku J Exp Med. 194. 191-195 (2001)