2000 Fiscal Year Annual Research Report
MIDCAB,OPCAB術後心房細動の発生機序と治療に関する研究
Project/Area Number |
12470272
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三崎 拓郎 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (40092811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湖東 慶樹 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80272904)
渡邊 剛 金沢大学, 医学部, 教授 (60242492)
藤木 明 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (90181338)
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Keywords | 冠動脈バイパス術 / 心房細動 / MIDCAB / OPCAB / 体外循環 / 電気生理学的手段 / f波周波数解析 / 心筋の異方向性 |
Research Abstract |
心房細動は冠動脈バイパス術後に見られる不整脈の中で最も多い不整脈である.これまでの胸骨正中切開,人工心肺を使用し,心停止下に行う手術では心房細動は20〜40%に見られると報告されてきた.原因として脱血管挿入,体外循環,心筋保穫が考えられてきた.今回取り上げたMIDCAB,OPCAは冠動脈バイパスを体外循環無しで心拍動下に行うため低侵襲であり様々な長所が期待された.1)我々の施設における低侵襲冠動脈バイパス手術の早期手術成績は死亡率0.4%,合併症としての脳梗塞1.2%と良好であった.問題とされる術直後の心房細動は全体で27%に見られた.本来MIDCABは左前下行枝を目標とした左開胸による小切開手術として開発されたが,我々は胸骨下切開の併用,開胸線の延長により右冠動脈と左回旋枝を目標はとした多枝バイパス手術を行ってきた.また最近では胸骨正中切開によるOPCABを第1選択として積極的に症例数の増加を図っている.2)冠動脈バイパス後の心房細動の病態を理解する上で電気生理学的検討は重要である.このため我々は新しい電気生理学的手段として心電図f波の波形解析する定量的方法の開発を進めている.本法は体表面心電図V1誘導f波の周波数解析から心内心房細動の変化を推定する方法で,MIDCAB,OPCABの術後に生ずる心房細動の病態の指標となる可能性もあり有望と思われる.なお,体表面心電図V1誘導を1K HzサンプリングでA-D変換しQRS波の加算平均心電図からテンプレートを作成し,これを利用しQRS波成分を除きf波をFFT解析し最大パワーを求めている.3)冠動脈吻合前後に心表面マッヒングを行い虚血が心筋に与える影響を電気生理学的に検討した.心筋の走行によって生ずる縦,横方向の伝導速度を測定し異方向性の変化を調べた.プレコンデショニングのみでは吻合時の虚血が問題となる症例がありかかる症例ではシャントチューブによる潅流が安全と思われた.
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[Publications] 土肥善郎: "正中切開off-pump CABG症例の検討"胸部外科. 54(4)(印刷中). (2001)
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[Publications] 高橋政夫: "Off pump CABGの功罪:Doughnut heart stabilizerを用いたOff pump CABG 400例の経験"日心血外会誌. 31(特別号). 16 (2001)
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[Publications] 渡邊剛: "Off-pump CABCの手術適応,手技と21世紀への課題"Jpn Thorac Cardiovasc Surg. 68(特別号). 153 (2000)
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[Publications] 湖束慶樹: "小開胸拍動下冠動脈バイパス術後の創傷治癒遅延に関与する術前術中因子の検討"Jpn Thorac Cardiovasc Surg. 69(特別号). 338 (2000)
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[Publications] Fujiki A: "Characteristics of fibrillation waves of right atrial free Wall in patients with conversion of atrial fibrillation to atrial flutter."Circulation. 102(18). 802 (2000)
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[Publications] 藤木明: "心電図f波の波形解析からみた心房細動"心電図. 20(5). 421 (2000)