2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍における血管新生機構の解明と抗血管新生・化学併用療法の開発
Project/Area Number |
12470285
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
溝井 和夫 秋田大学, 医学部, 教授 (70157519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹嶋 寿郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40235289)
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Keywords | 脳腫瘍 / 抗血管新生療法 / 抗腫瘍薬 / アミノ酸代謝 / 増殖能 |
Research Abstract |
平成12年度に培養実験系で用いたラット可移植性腫瘍(C6)をSprague-Dawleyラットの右大脳基底核に定位的に注入接種して脳腫瘍モデルを作成し,移植後6日目より血管新生阻害剤(TNP470,武田薬品)の単独(30mg/kg/day;隔日皮下投与,計3回)および抗腫瘍薬(ACNU;30mg/kg/day;TNP470投与開始前あるいは最終投与後に静脈内投与)との併用投与を行い,(^<14>C-methyl)-L-methionine(^<14>C-Met)によるオートラジオグラフィー法で治療効果を解析した.関心領域は腫瘍部(T)と対側灰白質(NT)に設定して,腫瘍への^<14>C-Metの集積量はT/NT比を算出し,対照群と各治療群で比較検討した.また,オートラジオグラム作成後にHE染色を行い,腫瘍径の測定から腫瘍体積を算出し,組織学的検討を加えた.TNP単独投与群では腫瘍体積は対照群の47%に抑制されており,^<14>C-Metの集積は1.55±0.05と対照群(2.27±0.22)と比較して有意に低下し,半数例に壊死所見がみられた.TNPと抗腫瘍薬との併用群ではACNUの先行投与群の腫瘍体積が対照群の30%と最小であり,全例に壊死巣が確認され,^<14>C-Metの集積も有意に低下して(1.53±0.25),治療効果が最大であった.TNP治療後に抗腫瘍薬の投与を併用した群では腫瘍体積および^<14>C-Metの集積量はTNP単独投与群と比較して同程度であった. 今回の検討から抗腫瘍薬を先行投与し,血管新生阻害剤を併用するプロトコールの腫瘍増殖抑制効果が最大であり,悪性脳腫瘍における新たな治療戦略として抗腫瘍薬と血管新生阻害剤の併用投与によるtumor dormancy therapyは有望と考えられた.
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