2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラットにおける短時間の反復する脳虚血後慢性期における脳循環動態の検討
Project/Area Number |
12470288
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
貫井 英明 山梨医科大学, 医学部, 教授 (20008303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 康弘 山梨医科大学, 医学部, 医員
杉田 正夫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70235886)
宮沢 伸彦 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60209898)
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Keywords | cerebral infarction / cerebral blood flow / preconditioning / heat shock protein / reperfusion injury / endothelium |
Research Abstract |
ラット脳虚血モデルは塞栓糸を用いて中大脳動脈を閉塞し再開通可能な小泉モデルを用いた。虚血持続時間は5分、繰り返し回数は3回として経時的にレーザー脳血流計にて大脳皮質の脳血流の変化を記録し検討したn=20。この実験に際し塞栓糸の繰り返しての挿入により頭蓋内血管の損傷が生じるため、クモ膜下出血を合併する頻度が40%以上になった。これは塞栓糸が血管内皮を摩擦することによって、内膜剥離や攣縮を生じそこに再度の塞栓糸の挿入によって破綻することが、単回の挿入に比して高度となるためと考えられた。 出血を合併せずに再開通を得られたラットでは脳血流が再開通時に20-30%虚血前よりも増加し、responsive hyperemiaの状態を確認した。この条件で再開通後1時間、24時間、48時間、72時間で脳を摘出homogenateし、Western Blotによりheat shock proteinを同定したところ72kDaにpositive bandが認められ、5分3回の短時間繰り返し虚血でも虚血耐性(preconditioning)誘導になりうる可能性が示唆された。しかし虚血時間を2時間、3時間と延長するに従って、再開通時のhyperemiaの程度は減少し回復までにかかる時間も個体差が多くなった。塞栓部位よりdistalでの血栓形成が考えられるが、組織細胞障害が生じる時間での再開通は組織障害を助長する(reperfusion injury)状況にあることに関連しているかもしれない。偽手術群:頸動脈結紮のみ、n=10、では脳血流の低下は閉塞直後の一過性に認められる以外には血流障害は認められず、Hsp70の出現も認められなかった。
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