2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラットにおける短時間の反復する脳虚血後慢性期における脳循環動態の検討
Project/Area Number |
12470288
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
貫井 英明 山梨大学, 医学部, 教授 (20008303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和弘 山梨大学, 医学部, 助手 (00260571)
杉田 正夫 山梨大学, 医学部, 助手 (70235886)
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Keywords | cerebral infarction / repetitive ischemia / rat model / micro dialysis / preconditioning / ischemic tolerance / mGluR |
Research Abstract |
【目的】昨年度に引き続き、遅発性神経細胞死の原因であるグルタミン酸が短時間の脳虚血反復でいかに変化するかをマイクロダイアリシス装置を用いて検討した。今年度は主題である慢性期の状態を検討することを目的とした。【対象と方法】1.ハロセンガス麻酔下にラットの頸動脈から塞栓糸を挿入し、中大脳動脈閉塞をLaZer Dopplar flowmetryにて測定しつつ5分間5回行い、確実に血流の低下と上昇が生じたことを確認した動物のみを対象とした。再開通後に血流の再開がなかったラットは除外した。その後、閉創して覚醒させ、2週間後、4週間後まで待機した。定位的手術装置で右尾状核部にmicrodialysis probe挿入し、再度2時間の虚血を塞栓糸の挿入により生じさせ、グルタミン酸の変化を測定した。2時間虚血後1時間再開通してグルタミン酸測定を終了し脳を摘出した。組織障害範囲(脳梗塞部位)をTTCにより染色して体積を算出した。昨年度、短時間反複虚血負荷を行っていない群にて同様の実験を行なった結果と比較した。反復虚血負荷後6時間、12時間、24時間の時点で同様の実験を試みたが、塞栓糸挿入の際出血をきたし死亡する率が高いため検討群からは除外した。2.昨年度報告したmGluR阻害剤DCG-IVの効果をdose dependentに検討するため、5nM(n=14),25nM〜50nM(n=5),5μM(n=16)における2時間虚血再開通でのグルタミン酸濃度を測定した。【結果】1.反復虚血負荷後2週間で再閉塞実験が行なえた群(n=4)では2頭で反復虚血負荷の無い群と同様に著明なグルタミン酸上昇を認めたが、残りの2頭では反応が無いか著明に減少していた。反復虚血後4週間群(n=9)では7頭で反応性のグルタミン酸上昇が著明に減弱していた。2.DCGIVの有意な用量依存性効果は認められなかった。【考察】一方、2週間後、4週間後の測定ではグルタミン酸の反応性上昇が著明に低下している動物があった。微小潅流プローベが陳旧性脳梗塞部位にあたっていたものがあり、初回虚血負荷にて脳梗塞に陥り反応性が低下していたとも考えられるため、preconditioningによる虚血耐性とは断定できなかった。
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