2000 Fiscal Year Annual Research Report
凍結処理前十字靭帯に起こるマトリクス再構築現象の適応制御機構に関する統合的解明
Project/Area Number |
12470299
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 登 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (90261297)
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60301884)
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Keywords | 靭帯 / 細胞外マトリクス / コラゲン / 凍結解凍処理 / 再構築 / 適応制御機構 / 生体力学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1)家兎80匹を用いた.処理群(n=40)では,マイクロ液体窒素プローブを用いて右前十字靭帯をin situで凍結・解凍処理して線維芽細胞を選択的に壊死させた.sham群(n=40)では右膝にsham手術を行った.左膝関節は正常コントロールとした.術後6,12週で各群とも20匹ずつ屠殺し,10匹を生体力学的試験へ,5匹を微細構造解析へ,5匹を超微細構造解析(電子顕微鏡)へ供した.断面積は正常平均5.6mm^2が処理後6および12週で8.8および9.0へと有意に増加した。引っ張り強度は75.9MPaが57.5および35.6へと有意に低下した.Modulusは463.6MPaが350.2および253.7へと有意に低下した.微細構造では経時的に周辺部から細胞が侵入するが,12週でも中心部は無細胞であった.超微構造においてコラゲンフィブリルは10〜330nmの範囲で170nmにピークを持つUnimodalな分布を示した。 2)41頭のWistar-kingラットを用いて凍結・解凍処理した膝蓋靭帯マトリクスの再構築過程におけるIII型コラゲンの産生に関する分子生物学的解析を行った。右膝蓋靭帯に同様の処理を行った。5頭は器官培養による評価に用い,凍結・解凍処理の細胞死滅効果を確認した。残りの36頭は0,3,6,12週で屠殺して,各9頭のうち4頭にはラット抗III型コラゲンモノクロナール抗体を用いたABC法による免疫組織学的評価を行い,5頭ではRNAを抽出して逆転写し,ラットIII型プロコラゲンとGAPDH(内部対照)のプライマーを用いてquantitative RT-PCRによる評価を行った。免疫組織学的解析では3週と6週においてIII型コラゲンは楕円形の核を持った細胞のまわりに発現がみられ,12週ではIII型コラゲンの発現は全体に広がっていた。一方、Sham群では,III型コラゲンいずれの時期においても発現が認められなかった。2重免疫蛍光法を用いて定量した「コラゲンIII型/I型比」は,凍結群がSham群より有意に大きかった(p<0.01).また凍結群の「III型/I型比」は経時的に有意の増大を示した(p<0.01).RT-PCR解析によるIII型プロコラゲンmRNAは,6と12週のいずれにおいてもFr群がSham群より有意に多かった(p<0.05).
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Katsuragi R, et.al.: "The effect of nonphysiologically high initial tension on the mechanical properties of in situ frozen anterior cruciate ligament in a canine model."Am J Sports Med. 28. 47-56 (2000)
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[Publications] Tohyama H, et.al.: "The effects of stress enhancement on the extracellular matrix and fibroblasts in the patellar tendon."J Biomech. 33. 559-565 (2000)
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[Publications] Tohyama H, et.al.: "Extrinsic cell infiltration and revascularization accelerate mechanical deterioration of the patellar tendon after fibroblast necrosis."ASME. 122. 594-599 (2000)
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[Publications] Tohyama H, et.al.: "Intrinsic fibroblasts can inhibit the deterioration of the patellar tendon matrix caused by overstressing,while extrinsic fibroblasts do not."Trans Orthop Res Soc. 25. 790-790 (2000)
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[Publications] 安田和則,他: "成長因子TGF-βおよびEGFの混合投与が凍結処理前十字靭帯の力学的特性に与える効果.―投与時期による効果の差異―"第12回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 99. 11-12 (2000)
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[Publications] 南雲明 他: "TGF-βおよびEGFの投与が前十字靭帯in situ凍結処理後の膝前後動揺性および大腿骨-前十字靭帯-脛骨複合体の構造特性に与える効果."日本臨床バイオメカニクス学会誌. 21. 121-126 (2000)
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[Publications] 遠山晴一 他: "内在性線維芽細胞および外来性浸潤細胞の存在が過負荷膝蓋腱の力学的特性に及ぼす影響."日本臨床バイオメカニクス学会誌. 21. 127-132 (2000)