2002 Fiscal Year Annual Research Report
凍結処理前十字靭帯に起こるマトリクス再構築現象の適応制御機構に関する統合的解明
Project/Area Number |
12470299
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60301884)
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Keywords | 靭帯 / 細胞外マトリク / コラゲン / 凍結解凍処理 / 再構築 / 適応制御機構 / 生体力学 / 分子生物学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1)TGF-βが凍結処理前十字靭帯の力学的特性に与える効果に関する投与時期の影響 家兎24羽を使用した。凍結処理により膝前十字靭帯の内在性細胞を死滅させた後に、これらを6羽づっ4群(G/F3,F3,G/F6,およびF6群)に分けた.G/F3およびG3群は3週間後に,一方G/F6およびF6群は6週間後に2回目の手術を施行した.G/F3およびG/F6群には,4ngのTGF-βと100ngのEGFをフィブリン糊と混合し、それぞれ3週目と6週目にACL周囲に投与した.F3およびF6群には,フィブリン糊のみをそれぞれ3週目と6週目に投与した.全ての兎は,初回手術より12週目に屠殺した.左膝はコントロールとして供した.引っ張り強度および剛性率に関しては,G/F3は他の群より有意に高かった.断面積に関しては,G/F3群は他の群より有意に小さかった.これらの結果から、「投与時期」という因子は,これらの成長因子が凍結処理前十字靭帯の力学的特性に与える効果に有意の効果を及ぼすことが示された. 2)TGF-βの関節内投与が家兎膝前十字靱帯実質部損傷モデルの力学的特性に与える効果 家兎61羽を使用した.右ACLに新しく開発した方法で実質部損傷を作成した後に、7羽をTime0の評価に用い、54羽の無作為に18羽ずつ以下の3群に分けた.I群では何も投与せず、II群ではフィブリン糊0.2mlのみを投与した.III群ではTCF-β4ngをフィブリン糊を担体としてACL周囲に投与した.無作為に抽出した左ACLを正常対照とした(N群).(1)破断様式:I群は1例を除き全例実質部断裂であるのに対し、III群では12週で6/7例に裂離骨折を認め、有意差を認めた.(2)線形剛性:II群はI群との間に有意差を認めなかった.III群は12週においてI、II群より有意に高値を示した.しかしN群よりは有意に低値であった.(3)組織学的観察ではいずれの群においても実質部内に広範に肉芽様組織形成を認め、コラーゲン配列は不規則であった.
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[Publications] Tohyama H: "Avulsion fracture at the femoral attachment of the anterior cruciate ligament after intercondylar eminence fracture of the tibia"Am J Sports Med. 30. 279-282 (2002)
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[Publications] Tohyama H: "The effect of increased stress on the patellar tendon"J Bone Joint Surg Br. 84-B. 440-446 (2002)
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[Publications] Yamazaki S: "The effect of Graft-tunnel diameter disparity on intraosseous healing of the flexor tendon graft in anterior cruciate ligament reconstruction"Am J Sports Med. 30. 498-505 (2002)
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[Publications] Majima T: "Rehabilitation after hamstring anterior cruciate ligament reconstruction"Clin Orthop Relat R. 397. 370-380 (2002)
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[Publications] Ozeki S: "Simultaneous strain measurement with determination of a zero strain reference for the medial and lateral ligaments of the ankle"Foot and Ankle International. 23. 825-832 (2002)
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[Publications] Numazaki H: "The effect of initial graft tension on mechanical behaviors of the femur-graft-tibia complex with anterior cruciate ligament reconstruction during cyclic loading"Am J Sports Med. 30(Foot and Ankle International). (2002)
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[Publications] 遠山晴一: "前十字靭帯損傷の治療に対する生体力学的アプローチ"Monthly Book Orthopaedics. 15. 20-27 (2002)
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[Publications] 遠山晴一: "靭帯の細胞:線維芽細胞(Fibroblast)"臨床整形外科. 37. 624-627 (2002)
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[Publications] 田邉芳恵: "膝靭帯損傷の病期別理学療法ガイドライン-膝靭帯損傷のリハビリテーションの理論と実際-"理学療法. 19. 174-183 (2002)
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[Publications] 遠山晴一: "線維芽細胞壊死後の膝蓋腱におけるIII型collagenの発現に関する分子生物学的および免疫組織的検討"日本膝関節学会誌. 26. 86-87 (2002)
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[Publications] 内田尚哉: "除負荷がラット膝蓋腱の力学的特性とTransforming Growth Factor-βの発現に与える効果に関する解析"日本膝関節学会誌. 26. 184-188 (2002)
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[Publications] 沼崎広法: "移植腱初期張力が膝前十字靭帯再建術における大腿骨・移植腱・脛骨複合体の力学的に与える効果-繰り返し不荷試験を用いた生体力学的検討-"日本膝関節学会誌. 26. 238-242 (2002)
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[Publications] 近藤英司: "PDGF-BBの投与が損傷を受けた膝前十字靭帯の力学的特性に与える影響"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 23. 19-23 (2002)
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[Publications] 工藤敏治: "前十字靭帯再建術における屈筋腱を用いたBone Mulch TM ScrewとWasherLoc TM固定法の繰り返し不荷試験による生体力学的評価"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 23. 209-213 (2002)
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[Publications] 遠山晴一: "靭帯再建術のバイオメカニクス-委嘱腱に加える張力の重要性-"関節外科. 21. 155-160 (2002)
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[Publications] 遠山晴一: "整形外科運動療法実践マニュアル"全日本病院出版会. 5 (2002)
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[Publications] Stephen M. Howel: "DeLee & Drez's Orthopaedic Sports Medicine. Principles and Practice"SAUNDERS. 15 (2002)