2002 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子-18(FGF-18)による骨軟骨代謝調節機構
Project/Area Number |
12470303
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40282660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 信行 京都大学, 大学院・薬学系, 教授 (10110610)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
|
Keywords | Fibroblast growth factor / 骨 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 破骨細胞 / 成長因子 |
Research Abstract |
昨年度までの検討で、FGF-18は骨芽細胞および軟骨細胞の増殖促進、分化抑制に働くこと、破骨細胞に関してはその分化も骨吸収活性も共に促進することを報告した。本年度は、それぞれの細胞における分子メカニズムについて検討した。FGF-18の骨芽細胞に対する効果は、MAP kinaseであるERKのリン酸化を介するものであり、ERKの抑制物質であるPD98059によって抑制された。また、軟骨細胞に対する効果は、ERK以外にp38MAPKのリン酸化を伴っており、PD98059のみならずp38の抑制物質であるSB203580によっても抑制された。更に、破骨細胞の分化促進効果については、cyclooxygenase-2(COX-2)の阻害剤であるNS-398およびRANKLのデコイレセプターであるosteoprotegerinにより抑制された。以上より、FGF-18の破骨細胞分化促進は、一部は直接的にRANKLを誘導することによって、また一部は間接的にCOX-2の誘導・プロスタグランジンの産生を介することによって達成されるものであることが示された。この作用はFGF-2と同様であり、FGF-10は破骨細胞に対する効果を示さなかった。 なお、臨床応用を目指して、FGF-18の薬理効果を我々が現在までに行ってきたFGF-2の動物実験に基づいて試みたが、FGF-18リコンビナント標品の供給がin vivoの検討には未だ十分ではなく、今後の課題として残された。
|
-
[Publications] Takashi Shimoaka: "Regulation of Osteoblast, Chondrocyte, and Osteoclast Functions by FGF-18 in Comparison with FGF-2 and FGF-10"J. Biol. Chem.. 277(9). 7493-7500 (2002)
-
[Publications] 川口 浩: "Reverse & forward geneticsからの骨軟骨疾患へのアプローチ"整形外科. 53(12). 1569-1579 (2002)