2002 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔剤前処置の肝・肺における虚血耐性誘導機構と誘導条件の解明
Project/Area Number |
12470314
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲葉 英夫 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60159952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 暢也 秋田大学, 医学部, 教授 (30241954)
谷口 巧 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30301196)
後藤 由和 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (60282167)
中永 土師明 秋田大学, 医学部, 助手 (10254781)
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Keywords | 虚血耐性 / ATP感受性Kチャンネル / 揮発性麻酔剤 / 肝臓 / β細胞 |
Research Abstract |
1.揮発性麻酔薬の肝虚血に対するischemic preconditioning効果に関する研究 揮発性麻酔薬が肝虚血に対してischemic preconditioning作用を発揮するかどうか、rat肝スライス片を用いたin vitro低酸素暴露灌流実験を行った。その揮発性麻酔薬であるイソフルランの低酸素前投与を行った場合、組織学的に肝傷害とくに肝細胞のアポトーシス(DNAの断片化)の減少効果が認められ、その効果は類洞内皮細胞よりも肝細胞において顕著であった。このことは、揮発性麻酔薬が低酸素後の肝障害抑制効果、すなわちischemic preconditioning作用を有することを間接的に示していると考えられた。 2.揮発性麻酔薬の膵β細胞に対する細胞保護効果の関与-ATP感受性カリウムチャンネル活性化の有無- 揮発性麻酔薬の膵β細胞に対する細胞保護効果の有無を電気生理学的に検討した。mouseの膵臓から抽出・培養して得られたβ細胞を材料とし、イソフルランがβ細胞のATP-感受性K^+(K_<ATP>) channelに及ぼす影響について、whole cellを用いたパッチクランプ法により膜容量測定を行った。その結果、イソフルラン2%および5%の投与により、膜容量の減少すなわちK_<ATP> channel活性抑制が認められた。イソフルランの反復投与によりK_<ATP> channel活性の抑制作用増強が、2%と5%投与の両方に認められた。揮発性麻酔薬イソフルラン単独投与は、mouse膵β細胞K_<ATP> channelに対する活性化を抑制することが確認された。したがって、イソフルランは心筋細胞と同様に膵β細胞においても、虚血に対してischemic preconditioning作用を発揮し、細胞保護効果が存在し得ることが示唆された。
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