2002 Fiscal Year Annual Research Report
Neuropathic Painの新しい治療法の開発 電気生理学的手法・形態学的手法・行動学的手法など多角的な研究手法を用いて
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12470315
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 達郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (20200818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青江 知彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90311612)
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Keywords | orexin-A / orexin-1受容体 / NAALADase / 神経因性疼痛 / mechanical allodynia / 脊髄 / 後根神経節 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であり、今まで検討してきた薬物の神経因性疼痛に対する効果を検討した。薬物としては、orexin-A、NAALADase inhibitorを用いた。これらの薬物は、本研究の前には検討されたことのない薬物である。神経因性疼痛の動物実験モデルとしては、ラット坐骨神経を半周堅く結紮して作製するSeltzerモデルを用いた。また、神経因性疼痛の評価は、von Frey filamentを用いて、mechanical allodyniaの程度を測定することにより行った。 Orexin-Aを髄腔内投与すると、mechanical allodyniaの程度は、投与量依存性に抑制された。この効果は、orexin-1受容体の拮抗薬であるSB-334867により完全に拮抗できることにより、脊髄のorexin-1受容体の活性化によるものと考えられた。また免疫組織化学的な検討によると、Seltzerモデルでは後根神経節においてorexin-Aの発現細胞が増加し、また脊髄後角においてもorexin-A陽性の領域が増加していることが確認され、神経因性疼痛とorexin-Aとの関係が確認された。また、orexin-Aによる副作用は見られなかった。 NAALADaseに関しては、米国George Town大学のProfNealeより提供されたZJ-11及びZJ-43を用いた。これらの薬物を髄腔内投与及び静脈内投与しその効果を検討した。いずれの場合も、投与量依存性に神経因性疼痛の程度は抑制された。また、これらの薬物による副作用は見られなかった。 以上のように、これらの薬物は副作用無く神経因性疼痛に対して高い有効性を示したことより、今後の臨床応用に向けてさらなる検討を行う価値のある薬物であることが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山本達郎: "脊髄における痛み関連レセプター"医学のあゆみ. 203. 7-11 (2002)
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[Publications] Tatsuo Yamamoto: "Analgesic effect of intrathecally administered orexin-A in the rat formalin test and in the rat hot plate test"British Journal of Pharmacology. 137. 170-176 (2002)
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[Publications] 山本達郎: "ニューロパッシクペインの今"文光堂. 250 (2002)